特急炎上:4両目もいったん脱線していた

2011年5月31日 21時13分 更新:5月31日 22時46分

JR北海道本社から押収した証拠品を車に積み込む捜査員ら=札幌市中央区で2011年5月31日午後1時40分、貝塚太一撮影
JR北海道本社から押収した証拠品を車に積み込む捜査員ら=札幌市中央区で2011年5月31日午後1時40分、貝塚太一撮影

 北海道占冠(しむかっぷ)村のJR石勝線トンネル内で特急列車(6両編成)が脱線炎上し、39人が負傷した事故で、JR北海道は31日、列車5両目のほか、推進軸などの部品が落下した4両目の車両もいったん脱線していたことを明らかにした。最終的に脱線していた5両目の脱線痕はトンネルの約40メートル手前だが、実際は約900メートルにわたり脱線走行していたことになり、横転事故などにつながる可能性もあった。

 JRによると、列車はトンネル約1.8キロ手前で最初に4両目の減速機つりピン(長さ19センチ)が脱落。さらに推進軸の一部を次々と落としながらトンネル手前793メートル地点から脱線した。列車はそのまま721メートル走行。2本のレールが交わるポイント部分でレールに乗り上げて元に戻った。

 つりピンは減速機と車体を固定する部品で、外れると減速機からつながる推進軸が破損する恐れが高まる。94年5月にJR室蘭線で特急列車の推進軸が脱落した事故でも、原因はつりピンの脱落だったという。

 また5両目は4両目がレールに戻ってから約40メートル進んだ地点で脱線した。付近に減速機の歯車が落ちていたため、車輪が歯車に乗り上げたとみられる。

 JRによると、列車は時速140キロで走行していた場合、急ブレーキをかけると600メートル以内に止まるよう設計されている。当時の列車の速度は約120キロ。運転士がブレーキをかけた地点ははっきりしていないが、同社は「4両目が脱線した直後に異常に気付いて急ブレーキをかけていれば、トンネル手前で止まった可能性もある」としている。

 一方、北海道警は31日、業務上過失致傷容疑でJR北海道本社などを家宅捜索した。【金子淳、吉井理記】

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