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プルサーマル導入でも世論誘導? 九電、揺らぐ信頼性 | ||
玄海原発3号機のプルサーマル導入に関する県主催公開討論会(2005年)で、九州電力による“世論誘導”の実態が29日、明らかになった。県が「判断材料」と位置づけた討論会は動員が半数を占め、国内初のプルサーマル同意を後押しした可能性も浮上。県は「影響はなかった」と今回の問題と県の判断の関係を否定するが、討論会の信頼性は大きく揺らいでいる。
県は05年2月の九電主催、10月の経産省主催で「安全性について理解が深まったとは言い難い」(古川康知事)として、12月に安全性に絞った討論会を唐津市で開催した。専門家6人が議論を展開、会場から18人が質問したが、九電は動員要請の際、「自主的な発言」を呼び掛けたことも新たに明らかにしており、会場の雰囲気づくりにも関与した疑いが出てきた。
討論会後、古川知事は「理解が深まったという印象を受けた。判断の一つになる」と語っていた。その後、同意に向けた動きが加速。06年2月に「安全性は確保される」と表明し、3月末の経産相来県で同意した。
しかし、討論会の正当性への疑問は県議会でも06、07年に指摘されていた。宮崎泰茂議員は「九電と関連企業の職員がいっぱいいたじゃないか」などと動員を批判していたが、古川知事は可能性を認めつつ、検証は不可能とした。会場で実施したアンケート結果についても担当本部長は「県民の理解が進んだかの指標には用いていない。参考資料」と答えた。
この日、山元春義副社長の報告と謝罪を受けた牟田香副知事は九電の組織風土を批判したが、「壇上の議論を聞いて判断しており、県の判断に全く影響はなかった」と断言し、討論会のやり直しには否定的な考えを示した。
山元副社長は会談後、今後のプルサーマルについて「しっかり(県民の)理解を得て、継続できると思っている。安全は大丈夫」と早くも続行を宣言した。
一方、県議会の原子力安全対策等特別委員会は4日に真部利応九電社長を参考人招致し、追及する構え。木原奉文委員長は「いかなる理由があっても言語道断だ。九電から納得いく説明がないと再稼働についての議論はできない」と強調した。 |
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2011年07月30日更新 |