伊良部氏自殺…ショックで下柳眠れず

 マウンドで上空を見上げる下柳(撮影・飯室逸平)
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 マウンドで上空を見上げる下柳(撮影・飯室逸平)

 「ウエスタン、阪神1-7中日」(29日、鳴尾浜)

 青空を見上げ、笑顔と人懐っこい声を思い返した。突然のサヨナラ。信じられない。ウソであってほしかった。「悲しいね。アイツが一番苦しかったんやから。でも、できれば他の方法をとって欲しかったな…」。阪神・下柳は、力なく自身の車にうつぶせにもたれかかる形で口を開いた。伊良部さんの空の向こうへの旅立ち。願いは届かなかった。

 「(昨日の)夕方の時点で聞いていた。本人かどうかの確認がまだだったから、間違いだという連絡が来ればと思って待っていた。ネットとかでも出なかったし…。でも朝方になって『やっぱり伊良部だった』ということになって…すごい残念やね」

 共にパ・リーグを経験し、02年オフにそろって阪神に入団した。「仲間だよ仲間。風貌があれやから誤解もいっぱいされてたけど、すごく優しい仲間思いのヤツでね」。03年には共に18年ぶりのリーグ優勝に貢献。野球への熱い情熱も、2人の絆を固いものとした。

 タテジマで戦った2年間の記憶は色あせない。1歳年下の年齢差に関係なく、互いに尊敬し合えた間柄。伊良部さんの引退後も変わりはなかった。

 「何かあったらいつも連絡くれてね。伊良部の知り合いから『いつもシモさん、シモさんって言ってましたよ。野球頑張ってください』って言われたから、いま野球を頑張ってるんだけどね」

 野球への深い愛情。忘れられない記憶がある。「あんな野球好きは見たことない。本当に野球の話しかしたことがない。新地のクラブでシャドーピッチングしたのもアイツぐらいやろ」。伊良部さんらしい最高の思い出話。できれば、こういう形で披露したくなかった。

 この日は、ウエスタン・中日戦(鳴尾浜)に先発して5回7安打7失点。言い訳にはしないが「寝れるわけないやろ」と眠れぬまま朝を迎えた。「アイツが自殺するんやから、よっぽど苦しいことがあったんやろう。まぁ…休んでもらうしかないやろ」。受け入れ難い現実。なぜ…の答えは見つからない。あまりに悲しすぎる訃報だった。

(2011年7月29日)

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