放射性物質への不安に乗じ、放射線除去に効果があると誤解を与えるインターネット上の通信販売広告が58件あることがわかり、東京都生活文化局が事業者に広告の見直しを指導した。都は放射線除去をうたったネット広告への指導は「全国初ではないか」としている。また、消費者に対し「広告をうのみにせず、情報収集して十分に検討してほしい」と注意を呼びかけている。
指導を受けたのは、都内などの通販業者53社。東日本大震災と福島第1原発事故以来、都民から「放射線の除去をうたった通販の商品には本当に効果があるのか」「放射線に効果があるという健康食品は、信用できるのか」などの相談が相次いだため、ネット広告2400件を調査した。
その結果、浄水器36件▽健康食品9件▽放射線測定器5件▽その他(めがね・防護服など)8件--のインターネット広告が不当表示につながるおそれがあると判断。中には「中国軍特殊部隊装備のハイレベルのガイガーカウンター」「このスーツは体内に入った放射能を汗と一緒に除去」「昆布に多く含まれるヨウ素は体内に入る放射能を排出する効果がある」などと表示したものがあった。業者に問い合わせたところ、合理的な根拠を示せないケースが相次いだという。
都の担当者は「消費者の関心の高まりに乗じた不当な表示が多い。今後も調査を続ける」と話している。【柳澤一男】
毎日新聞 2011年7月28日 東京夕刊