政治【主張】復興基本方針 財源先送りでまた遅れる2011.7.30 03:38

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【主張】
復興基本方針 財源先送りでまた遅れる

2011.7.30 03:38

 東日本大震災から4カ月半が経過してようやくまとまった政府の復興基本方針は、あまりに遅いうえ、復興事業の主要な財源すら明示できなかった。本格的な復興となる第3次補正予算編成にはさらに時間がかかる。無責任そのものだ。

 増税をめぐる与党内の反発が強く、当初予定の「5年で10兆円規模」としていた臨時増税の規模を盛り込めず、政府税制調査会の議論に先送りした。これでは、大震災からの復興どころか、日本経済の先行きすら危うくなりかねない。

 復興対策本部(本部長・菅直人首相)が29日にまとめた基本方針は、五百旗頭真・防衛大学校校長を議長とする復興構想会議が6月末にまとめた提言を受けて、具体策を肉付けしたものだ。

 構想会議は、初会合後の記者会見で五百旗頭氏が増税に言及するなど、当初から「増税ありき」で進められた。今回の方針策定でも増税による財源論が先行した印象が強く、経済成長を通じて税収増を促す積極的な成長戦略はみられない。極めて残念である。

 政府の復興方針では、当初5年で19兆円の資金を集中投入する方針だが、このうち6兆円は2度の補正予算で手当てし、残る13兆円の調達が問題となっていた。

 今回の基本方針によると、とりあえず国債の一種である復興債発行を基本に復興費用を賄い、その償還は臨時増税と歳出削減などで手当てすることにした。政府は法人税と所得税を軸に増税を検討しているが、その規模や対象、期間も明確にされていない。

 すでに政府は社会保障と税の一体改革に伴って消費税率の引き上げを決めているほか、B型肝炎訴訟の和解金支払いでたばこ・酒税の引き上げも浮上している。さらに復興増税の検討が進んだことで「増税ラッシュ」に対する懸念が与党内でも高まり、一気に反対論が噴出した格好だ。

 増税規模圧縮のため、基本方針では既存予算の歳出削減も打ち出したが、具体的な中身には触れていない。まずは子ども手当などのばらまきマニフェスト(政権公約)を徹底的に見直し、国民負担を軽減しなければならない。

 菅首相は、政府と与党が増税をめぐって対立しても、自ら主導して収拾する動きはみせなかった。復興に熱意のない首相には、即刻退陣してもらうしかない。

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