「アパルトヘイト」と見紛う日本の朝鮮支配
「夫役という奴隷制度」にて引用した「大正八年 朝鮮騒擾事件状況」では、「騒擾発生前に於ける民心の状況」という項目にて、三.一独立運動が起こった要因を各「道」ごとに分析しています。
たとえば「京畿道」(P-1〜)では、
日本の朝鮮支配によって「(李朝時代の)秕政(悪政のこと)の改善」、「民衆の福利増進」がなされたため(?)、
「漸次智慾向上し物質以外何物かを要望するの気配」が生じ、
そこに「偶々パリ平和会議は世界の視聴を集め、就中米国大統領の発表せる民族自決の語は一般に深甚なる瞑想を煥発」したため、
「朝鮮も亦民族自決の適用を受け獨立を期待し得べく誤解」した・・・・
つまり、
「日本の支配によって朝鮮人の生活を向上させたため、余計な事を考える余裕を与えてしまった。
ちょうどそのときアメリカのウィルソン大統領が提唱した『民族自決』に触発され、
生意気にも独立を願う声が高まってしまった・・・・」
と、説明しています。
また、同年1月22日の「李太王」(高宗)逝去に際し、
「王世子殿下の御婚姻を喜ばざる結果の自刃」であるとか、
「臣下に毒殺せられたり」とか、ともかく「原因悉く日本にありとの妄説」が広まったことも、
「排日思想沸騰」し「物情騒然」とした原因であるとしています。
さらには、朝鮮人学生の思想化も事態に影響を与えていたと分析しています。
朝鮮人の学生が東京に留学し、同郷の先輩に日本語で挨拶すると、「目を怒らし黙して答へず、遂には『汝は朝鮮人にあらずや、何を苦んで同国人たる予に日本語を以て挨拶するや』と一喝」を受けたそうです(P-19〜 平安南道)。
つまりは「おめーはそれでも朝鮮人か?朝鮮人だったら日本語を使うなボケェェ!!」と、突っ込みが入ったということです。こうした朝鮮人学生の言動については「従来東京留学生間に蹯る排日思想を立証するもの」であると危険視しています。実際に学生が独立運動の牽引力になったのは事実ですが。
他には、朝鮮人には歴史的に根強い反日感情があるとする分析もあります。
「三百年来日鮮の融和を障げ排日の遠因を為す壬辰録(つまり、秀吉の朝鮮出兵)の被害は我が忠南も免がるること能はず、蓋し鮮人の内地人に対して有する一種の仇敵思想は平素容易に認むる能はざる(一文字不明)、朝事あるに際しては或は文章に或は口吻に顕はるるに至るものとす、この種の仇敵排日思想は今や鮮人一般の民族性と化せるものにして畢竟歴史上の事実原因を為すものなるを以て絶対に之を除去する能はざるも壬辰録の禁厭を以て其の被害を尠少にするの他あらざるべし」
(P-5〜 忠清南道)
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つまり秀吉の朝鮮出兵以降、朝鮮人は日本を激しく恨んでいるので・・・・・激しい「騒擾」が起こったのもまた当然・・・・と、言いたいのでしょう。
しかしこの記録を読み進めば、これらの推測は実に瑣末なことに過ぎないことが分かります。
日本の支配下で民衆は生活を圧迫され、屈辱に堪えかねていたのです。独立運動は起こるべくして起こったと言えます。各道の「鮮人間に唱へらるる不平及希望」より引用します。
★京畿道(P-383〜)
一.待遇上の不平
1.内鮮人官吏待遇上に差別あること
2.内地人は朝鮮人を蔑視す
3.内地人は理非の如何に拘はらず直に殴打するの癖あり
二.法規上の不平
1.鮮人に限り笞刑を行はれつつあること
2.各種行政施設の繁雑なること
3.法令頻発して民度の副はず
4.産業奨励は多く民意に反し而も強制的なること
三.徴税の不平
1.諸税徴収の負担過重にして又何物にも税を課する、其の苦痛は寧ろ韓国時代の暴政に若かずと云ふにあり
2.賦役の過重なること
(殴ったり、ムチで打ったりと、朝鮮人を完全に家畜扱いしていたようです)
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★忠清北道(P-387〜)
一.不平
1.鮮人官吏は待遇劣等なること
2.朝鮮を殖民地視し鮮人を蔑視冷遇すること
3.国費を以てすべき工事の賦役を人民に課すること
4.人民の権利を無視し諸種の工事を為すこと
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★忠清南道(P-391〜)
鮮人間に唱へらるる不平及希望は実に多種多様なるも之を総合せば大体次の六種とす
一.官公吏の待遇向上に属するもの(略)
二.内地人より受くる侮辱的待遇に属するもの
1.内地人は一般に侮辱的代名詞として「ヨボ」なる語を用ゆるは不快に堪へざる所なり、宜しく矯正を望む
2.内地人は一般に鮮人を侮蔑するも就中下層社会の傲慢不謙遜侮辱の態度は実に鮮人の感情を害するの甚しきものあり、内地人側の反省を望む
(中略)
五.勧業の施設嫌厭に関するもの
1.勧業の施設奨励其の度を過ぎ、強制的なるは不平なり、農民の自由意志に委せられ度
2.右の主なるものは陸地棉の栽培、桑苗其の他植林上の苗木購入米作改良上の干渉等
(こういうのを読みと、日本の朝鮮支配にはいい所が全く無いような気がしてきます)
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★全羅北道(P-395〜)
一.不平
14.朝鮮人に対する待遇を差別し殊に官吏に於て甚しく一般人民に於ても此の感を抱くもの多し
15.内地留学生は校友間に於ける冷遇下宿屋に於ける虐待に対し深き怨恨を有する者多し(内地留学生)
16.国語を能くする鮮人官吏(殊に高等官に在りて)汽車、汽船、旅館に於て其の鮮人たることを知るときは直ちに其の待遇を変じ冷遇する向多く、之に対し不快の感を抱き居れり(官吏)
(朝鮮人だと分かると途端に態度を一変させるんですねえ。実に浅ましき国民性です)
(中略)
20.内地人の多数が鮮人を蔑視し言語上態度上劣等民の待遇をなし、聊かも先輩者たる態度、又は真の友愛の情を示さざる遺憾なり、併合の詔勅に依るも同等の権利義務を有すべきに此の実なきは不平とする所なり(官吏及一部有識者)
(朝鮮人も日本人と同格に扱うなんて、建前だけだったのです)
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★慶尚北道(P-403〜)
四.税金の種類夥多にして増税に次ぐに新税を以てし、糊口に窮するの貧民亦富豪と同じく課税せられ、
其の額は異れりと雖も貧民に於て却て苦痛を感ず、斯の如き公平なるが如くして決して公平にあらず。
韓国時代は苛斂誅求を極め税金の総額の如き或は今日より多かりしならんも、之を負担するは富豪に止まれり、殊に現時に於て税金の種類極めて多く納税の方法煩雑に堪えず(中略)
(日韓併合以降は、金持ちだけではなく貧しい民衆も厳しく税を取り立てられた、ということですね)
七.朝鮮の財政独立は尚早なり、朝鮮人民今日の如く生計難に陥り中には之が為墳墓の地を去り遠く海外に移住せざるべからざるに至りしは、財政独立を急ぐ為増税に次ぐに新税を以てし加ふるに多大の賦役を課せられ人民の負担苛重に堪へざるに基くものにして、併合後僅かに十年を出ずして財政の獨立し得るものならば毫も併合の要を見ざりしなるべし、と唱へる者あり(中略)
(つまり、日本の悪政によってもたらされた貧困に堪えかね、故郷を捨てる朝鮮人が続出している状況で、「朝鮮が、日本に併合されてからたった十年で財政面で独立できるほどの国ならば、併合して保護してやる必要なんかなかったんだよボケェェ!」と、開き直る御仁もいらっしゃったということです)
(中略)
17・小作料過大にして、細民の生活愈困難なり、政府は地主の横暴を制限せられたし(間島移住民の如きも之に基くもの多し)(小作人)
(中略)
21.朝鮮人に限り笞刑制度を設くるは不公平なり(中流以上)
(せめて朝鮮半島に於いては日本人に対してもムチ打ち刑を設けなければ、物の道理が通りません)
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★慶尚南道 (P-411〜)
鮮人間に唱へらるる不平及希望
現時一般鮮人間に唱へられつつある不平及希望を挙ぐれば左の如し
一.不平事項
1.併合以前、即ち統監府設置時代迄は日本は飽迄朝鮮を獨立せしむるべく保護したるも、
明治四十三年八月に至り時の皇帝陛下及内閣総理大臣其の他高等官等に対し甘言を以て併合を実施したるは甚だ遺憾とする所なり
(日韓併合は最初から実に欺瞞に満ちたものだったのです)
2.併合後は内鮮人の区別を為し朝鮮人は常に劣等の地位に置き、官吏の如きも相当資格あるも高官に採用せず、亦俸給の如きも大なる区別を為し下級官吏の如きは俸給を以て生活すること能はざるに恰も小使の如く使役虐待せらるるは甚だ遺憾に堪へず
(中略)
6.濫りに諸種の法令を乱発して取締を厳にして、且、種々なる課税を為し漸次其の税率を増加して人民を苦しましめるは鮮人の甚だ遺憾とする所なり
(重税を課さなければ植民地を経営することは出来なかったのでしょう。日本という貧乏な国には。)
(中略)
9.内地人は一般に朝鮮人を奴隷視し殊に甚しきは地方屈指の資産家に対して「ヨボ」と呼ぶものあり、今日「ヨボ」なる語は「お前」と云ふ代名詞と化したるを以て侮辱と認むるの外なく憤慨に堪へず
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★咸鏡南道(P-428〜)
従来吾人の耳にする鮮人の不平及希望を摘記するに大略左の通にして不平の多くは内鮮人差別的待遇にあるとす
一.不平
1.内地人が鮮人の相当位置を有すものに対し尊敬を払わず其の態度不遜なるは鮮人を軽蔑するの甚しきものなり
2.汽車汽船等に於て内地人が鮮人の座席を追ひ自ら其の席に着くが如きは殆んど朝鮮人を犬豚視するものなり
3.内地人の湯屋に鮮人を入浴せしめざるは不都合なり
(絶句・・・・!)
4.内地人の官憲は内地人の厚くして鮮人を虐待すること甚し
5.内地人商人が物品を売買するに当たり来客の前後に不拘内地人を先にし鮮人を後にするは不都合なり
6.内地人医師が患者を診断するに患者来着の前後に不拘内地人を先にし鮮人を後にするは不都合なり
(こういうのを「アパルトヘイト」と云ふ)
7.内地人旅舎が鮮人に対し身分の高下に不拘冷遇するは不都合なり
8.人民の希望ぜざる勧業を強制的に勧むるは不都合なり、一例を挙ぐれば土地を有せざる者に対し強いて桑の植付を勧むるが如し
(マジ?土地を持ってない人がどうやって桑を育てることが出来るんだ??)
9.道路を官に於て開設するに當り、民有地を強制的に寄附せしむるは不都合なり
10.鮮人を官人に登庸するも実権を与へず
11.内鮮人官吏の俸給の差異あり
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★江原道(P-423〜)
(中略)
二.一般に唱へらるる不平
1.差別待遇を撤廃せられたし、内地人は鮮人身分如何を問はず「ヨボ」なる呼称を用ひ、其他一般の待遇を卑下す、之に反し鮮人は内地人に対し相当の敬意を払い遇しつつあり
2.不急の土木を起し民力を顧慮せず、夫役現品の夥多なるは最も苦痛とする所なり
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・・・以上のような、民衆の生活への悪影響を無視していた施政や、朝鮮人に対する激しい人種差別意識があった状況下では、たとえウィルソンの「民族自決」提唱がなくとも、高宗の突然の逝去がなくとも、激しい独立運動が起きて全く当然と言えるでしょう。
ともあれ、「この種の仇敵排日思想は今や鮮人一般の民族性と化せるものにして」、「絶対に之を除去する能はざる」というのは実に鋭い観察だと言えます。
これに一言付け加えさせてもらうならば、朝鮮人一般が「絶対」に「除去」できない「仇敵排日思想」を抱くに至った最も大きな原因は、
秀吉の朝鮮出兵でも、日本支配下での民衆の困窮でも、日本人の人種差別意識でもなく、
朝鮮の独立を奪って植民地化したこと・・・・これに尽きるでしょう。
如何に日本の朝鮮支配によって民衆が豊かになろうとも、朝鮮人が日本人と完全に同格に扱われようとも、
日本語で同胞に話しかける者に対しては、
「おめーはそれでも朝鮮人か?朝鮮人だったら日本語を使うなボケェェ!!」
と、厳しい突っ込みが入ったことでしょう・・・・
(日本茶歴史ボード19309より。2004/09/13)
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