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最終更新:2011年7月29日(金) 18時37分

保安院、中部電と四国電に「動員依頼」

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 九州電力に端を発した原発再開をめぐる「やらせメール」問題が広がりを見せています。29日、中部電力と四国電力は経済産業省の原子力安全・保安院から、原発に関するシンポジウムに参加者を集め、意見を述べてもらうよう依頼を受けていたことを明らかにしました。

 「視聴者の方々からメール等をいただいております」(佐賀県民向け説明番組 6月)

 6月にケーブルテレビなどで放送された玄海原発の再稼働をテーマにした番組。九州電力が再稼働に賛成するメールを送るよう関係会社に指示していた、いわゆる「やらせメール」問題が発覚しました。九州電力は29日、佐賀県に謝罪しましたが、問題はこれだけにとどまりませんでした。

 「保安院から(中部電力)本店の原子力部グループ部長に対し、“質問を作成し、地元の方に質問してもらうよう依頼すること”という口頭依頼があった」(中部電力 寺田修一法務部長)

 2007年8月に国が開催した浜岡原発に関するシンポジウム。中部電力は、反対派だけになるのを避けるため、参加者を集めて質問させるよう、経済産業省の原子力安全・保安院から依頼を受けていたことを明らかにしました。

 「今回、特定の意見表明をお願いしたいということについては応じられないという結論になった」(中部電力 寺田修一法務部長)

 中部電力は社員や関連会社に呼びかけておよそ150人を動員しましたが、特定の意見を表明させることは断ったということです。

 「市民をなめてますね、これは」
 「ちょっと信じられなくなる。信頼感が薄れます」(御前崎市民)

 「私の方では報告書の中身は把握していない」
Q.今、調べられないか?
 「ちょっとそこは・・・よく内容を見る必要があるので・・・」(原子力0BA4!&J]0B1! 森山善範災害対策監)

 当時、問題のシンポジウムに出席していた保安院の森山災害対策監はこのように濁しましたが、保安院が依頼をした先は中部電力だけではありませんでした。2006年、愛媛県で開かれた伊方原発に関するシンポジウム。四国電力はこのシンポジウムでも、やはり保安院から出席者を集めるよう依頼を受けていたことを明らかにしました。

 「一定の方向に賛否を誘導するような“やらせ”はなかった」(四国電力 原田雅仁広報部長)

 一方、海江田経済産業大臣は緊急の会見を開き、調査を継続すると話しました。

 「仮に国が特定の意見表明を誘導していた事実があれば、経済産業省を預かる者として大変申し訳なく思う」(海江田万里経済産業大臣)

 原発の安全を担うはずの保安院による動員依頼。不信感の高まりは避けられそうにありません。(29日17:01)

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