左サイドで練習に汗を流す阿部(左)=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスは26日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで午前と午後の2部練習を行い31日の福岡戦(レベスタ)に備えた。23日の広島戦(瑞穂陸)では闘莉王、増川の両センターバックが今季初得点を決め、阿部翔平(27)はDF陣で唯一の無得点となってしまったが、気後れなどない。自分の最も重要な役目、クロスのさらなる精度アップを目指す。
阿部が左サイドを攻め上がる。ニアにファーに、速いボールや高いボール。バリエーション豊かなクロスを上げていく。そのたびにストイコビッチ監督からは「グッド」と称賛の声。DFラインでとどまっていると「アベ、アップ!」とすかさず攻め上がりの指示が飛んだ。
「やっぱり僕には得点は求められていませんね」。阿部は吹っ切れたような笑顔を見せた。23日の広島戦ではDF闘莉王が同点弾を、DF増川はクラブ通算1000得点目のメモリアル弾をいずれも今季初ゴールで決めていた。「J1初得点が1000ゴール目なら奇跡ですね」とひそかに記念弾を狙ってみたが、自分の仕事はアシストだと再確認した。
6月15日の新潟戦(瑞穂陸)でDF陣のトップを切ってゴールを決めた田中隼は「僕らサイドバックには戦術を守ることなどが得点以上に求められている」と、阿部をかばう。阿部自身も得点こそ挙げていないが、「自分が頑張っていることが結果につながっている実感がある」と、今季初の4連勝と乗ってきたチームの中で、自分の役割を果たしている手応えを感じている。
入団年の2006年3月21日のアウェーの福岡戦には、新人ながら先発出場も果たした。その06年以来のJ1で現在最下位に沈んでいる福岡に対しては「苦戦している福岡に合わせるのではなく、しっかり勝ちきらないといけない」。優勝した昨季は首位に立った8月を前に、3位と好位置につけている。グランパスの真骨頂とも言えるサイド攻撃さく裂へ、阿部はクロスの精度向上をさらに突き詰める。 (伊東朋子)
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