阪神−中日 5回裏1死一塁、代打森田に左越えの同点1号2ランを打たれたネルソン(岡本沙樹撮影)=甲子園球場で
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◆阪神5−3中日 この言葉を聞くのは何度目だろう。「グッドピッチ? ノー。勝てなければグッドピッチじゃないんだ」。7イニング1/3を6安打4失点。ネルソンが試合をつくりながら、またしても敗れた。自身3連敗で7敗目(6勝)。チーム同様、自らも負けが先行した。
まさかだった。2点リードの5回1死一塁。プロ初出場の代打・森田に左翼ポール際に同点2ランを浴びた。信じられないという表情で、思わず顔を覆った。「モリタ? 知らなかった」。見ず知らずの伏兵の一発。ベンチに戻る際にはスコアボードに入った「2」を恨めしそうに見つめた。
ただ、長身右腕は責められない。まずは1回1死一、三塁。新井貴を三ゴロに打ち取り、併殺のはずが味方の失策で1点を失った。ショックを受けそうな場面。ここで踏ん張った。後続を断つと、最速154キロの直球に加え、スライダー、フォークがさえた。
打席でも執念を見せた。同点の4回。1死二、三塁で迎えた第2打席。能見の初球、スライダーに食らい付いた。たたきつけた打球は相手の判断ミスを誘い、自身も全力疾走で投前適時内野安打。一時は勝ち越しとなる打点を挙げた。
8回1死二塁で無念の降板。後続が打たれて負け投手になった。「自分のできることは精いっぱいやろうとしたんだが、きょうは運が味方してくれなかったかな」。淡々とした言葉に悔しさがにじむ。
4月の開幕、交流戦後のセ・リーグ再開。節目のマウンドに常に立ってきた。前半戦はリーグ最多の111イニング1/3を投げた。投げて、打って、走ったこの日。ローテの中心にいることをあらためて周囲に知らしめた。「次はまたやり直したいね」。そう言葉を残してバスに乗り込んだネルソン。次こそ勝ち運をつかんでみせる。 (高橋雅人)
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