外国人保有制限銘柄は13銘柄
フジと日テレ、株主名簿不記載で免許取消し回避
外資規制、配当付与で意見の違い
外国人保有制限銘柄であるフジ・メディア・ホールディングス(4676)と日本テレビ放送網(9404)が、外資規制比率(テレビ局は20%)を超えていることが株式市場の内外で話題となっている。外資規制の制度や各社の対応、影響などを追ってみた。
今回話題となったきっかけはインターネットの掲示板サイト「2ちゃんねる」開設者・初代管理人の「ひろゆき」こと西村博之氏が27日に出した「フジテレビと日本テレビの放送免許が危ない問題」と題するネット記事。この中でフジと日テレの外国人直接保有比率が20%を超えており、「『免許の取消し』に当てはまる」と指摘したことから、アンチテレビ層の多いネット上で大きく取り上げられた。
外国人保有制限銘柄 | |||
---|---|---|---|
銘柄名 | コード | 外国人 直接保有 比率 | 参考 (外資規 制比率) |
フジHD | (4676) | 28.50% | 20.0% |
WOWOW | (4839) | 4.06% | 20.0% |
ANA | (9202) | 9.57% | 33.3% |
スカイマーク | (9204) | 22.84% | 33.3% |
TBSHD | (9401) | 7.20% | 20.0% |
中日放 | (9402) | 8.97% | 20.0% |
日テレ | (9404) | 22.66% | 20.0% |
朝日放 | (9405) | 7.97% | 20.0% |
RKB | (9407) | 8.57% | 20.0% |
新潟放 | (9408) | 3.01% | 20.0% |
テレビ朝日 | (9409) | 14.60% | 20.0% |
テレ東HD | (9413) | 1.19% | 20.0% |
NTT | (9432) | 23.98% | 33.3% |
2011年7月27日19時公表(前営業日最終基準) |
「証券保管振替機構(ほふり)」によると、外国人保有制限銘柄は全13銘柄(表参照)。「外資規制比率」は放送法、NTT法、航空法の各業法で定められているもので、計算方法が異なるが「外国人直接保有比率」とほぼ同じとの解釈でよい。
ほふりは外国人保有制限銘柄について「法律により、外国人投資家が名義書換を拒否される可能性があるため、それを判断する参考情報として毎日公表」(証券保管振替機構=ほふり株式業務部)している。27日現在で外資規制比率を超える銘柄は表の通り、冒頭の2銘柄のみ。
外資規制比率を超えた場合の外国人株主の取り扱いだが、フジも日テレも同様の対応をしている。株主名簿を確定する際(フジは年2回、日テレは4回)、ほふりから総株主通知が届き、それを基に外国人の場合は、継続株主の既得権を確保した上で、20%未満の範囲内で按分(あんぶん)で振り分け、端数は抽選にかける「按分・抽選方式」で株主名簿に記載する。按分とは数量に比例して割り振ることで、時間優先ではなく、保有株式の数に応じて配分される。
両社とも20%を超えて株主名簿に記載されなかった外国人株主に議決権を付与しないが、違いは配当への考え方だ。フジは「外資規制は株主の影響力の話で配当は払うべき」(フジ・メディア・ホールディングス 株式部)との考え方で「配当あり」。一方、日テレは「株主名簿に記載されていない方は株主ではないとのスタンス」(日本テレビ放送網 株式部)で「配当なし」としている。
ちなみに、西村氏が指摘する放送免許の取消しの可能性については、両社とも「外国人株主の影響力は20%未満なので、全く関係ない」とのこと。(B)
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