衆議院厚生労働委員会は、東京電力福島第一原発の事故を受けて、放射線の健康への影響について専門家から参考人質疑を行い、この中では、周辺住民に放射線に対する理解を深めてもらうことが重要だという意見や、放射線の影響を受けやすい子どもの安全を守るよう求める要望などが出されました。
参考人質疑には、放射線や食品安全、それに原子力などの専門家ら6人が出席しました。この中で、放射線医学総合研究所理事の明石真言氏は「福島第一原発の事故によって周辺住民の健康への影響は非常に大きい。放射線について何が危なくて何が危なくないのかということを住民に分かりやすく理解してもらうことが重要で、住民が判断できる材料を早く提供すべきだ」と述べました。日本学術会議副会長の唐木英明氏は、肉牛から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが相次いで検出された問題に関連し、「基準値は安全と危険の境目よりもずっと厳しく決められており、安全と危険の境目ではない。基準値を超えたものがすぐに危険だという理解が広まっていることが大きな混乱の原因になっている」と述べました。一方、東京大学先端科学技術研究センター教授の児玉龍彦氏は「放射線による障害を考えるときは放射線の総量を見るが、政府や東京電力からは今回の福島第一原発から出た放射線の総量がどれくらいであるかはっきりした報告がない。放射線は幼い子どもにとって非常に危険で、政府は子どもを守るために全力を尽くしてほしい」と述べました。