コラム

2011年07月29日号

【鷲見一雄の視点】
反社会的勢力に理解を示す政治家、弁護士、文化人たち


●国論は2分されているのに
 反社会的勢力に対し、永田町周辺やマスコミ、弁護士界は「警察の姿勢を支持する勢力」と「警察を非難する勢力」に完全に2分されている。しかし、警察を非難する政治家、文化人、弁護士の声は表には出ない。この態度を私は由々しき問題だ、と思う。

 それらの人たちは私のように後藤組や弘道会に対し、批判的言論をしている者に対し、いやがらせ、脅し的行動を示すことで牽制する。私のような言論をやっていると何十年も交際していた人と疎遠しなったり、交流が打ち切られたりする。中元を贈ってもおかえしはない。黙示の絶交宣言であろう。その位、反社会的勢力の力が根強いということだ。
 毎日新聞地方版は22日、「暴力団排除:小松組の事務所使用禁止仮処分 組長側の保全異議申し立て退ける /東京」という見出しで次の記事を配信した。暴排に関する裁判所の姿勢を示す現れと思うので旧聞となっている出来事だが、紹介する次第だ。

●毎日新聞掲載記事
 毎日新聞地方版は22日、「暴力団排除:小松組の事務所使用禁止仮処分 組長側の保全異議申し立て退ける /東京」という見出しで次の記事を配信した。
  指定暴力団山口組を実質支配する弘道会系の小松組の組長に対し、台東区の住民ら約170人が事務所の使用禁止を求めた仮処分で、東京地裁は11日付で、住民側の申し立てを認めた仮処分決定(3月30日)を不服とした組長側の保全異議申し立てを退けた。 3月の仮処分決定は、過去の山口組の抗争事件などから「山口組系暴力団事務所の周囲では抗争事件が生じる可能性が高く、住民らの生命、身体に危害が及ぶ可能性がある」と認定。雑居ビルを組事務所として使わないことを確実にするため、「組長の居住、移転の自由が制限されてもやむを得ない」と判断した。〔都内版〕 これは民暴弁護士の努力が大きい。これに批判的な弁護士は多いのだが、呟き程度しか発言をしない。

●鷲見一雄の視点
 今の日本には構成員8万人の裏社会が厳然として存在し、その中には詐欺師、ブローカーが群れをなし、隙のある人(企業)を「食い物にする人」と「食われる人(企業)」、食い物にしようとしても、「食い物にならない人」、食い物にしようとしても、「食い物にする対象にできない」の4種類の構造を作っている。「食われる人の代表的存在」は「オレオレ詐欺の被害者」、「必ず儲かると言って株を買わされて泣いている人」「熱海の岡本ホテルの被害者たち」だ。ここから集めた金の多くは「裏社会上部」へ上納されているのである。
 芸術家や文筆家、職人、第一産業に従事している人、商店経営で成り立っているように自力で生きられる人を除き、多くは仕掛ける人と仕掛けられる人、仕掛けに乗らない人、仕掛けの対象にならない人に大別される。それでも覚醒罪などの犯罪者が出る。
 政治家、団体を主宰する人は仕掛ける人の範疇に入る。現役政治家は歳費もあり、政党交付金もあるから、ひとまず、まあまあ、とするとして、現役でない政治家はどうやって事務所を維持し、政治活動を続けているのか、活発な活動をしている人ほど反社会的勢力と繋がっている可能性は高い。参加している人たちはどこから資金が出ているか、考えたことがあるのだろうか。この人なら何もしなくても金は湯水のように湧いてくると思っているのだろうか。
 人は誰でも職業選択の自由はあり、稼ぐ権利はある。しかし、一定の年齢を過ぎた人は反社勢力と何らかの繋がりをもたなければ生きられないのではないか。経験を買って現実にまとまった金を出してくれるのは反社の人しか、いないのではないか。もつとも、利用価値のない人に誰もそんなことをしないのは説明するまでもあるまい。弁護士懲戒、犯罪により弁護士資格を失った人の大半は反社社会の住人となっている。落ちていく先は反社社会なのである。ヤメ検は反社の人たちをクライアントにしている人も多い。その中には驚くような経歴の人もままみられる。NHKなど大手マスコミ関係者も反社勢力に庇護されている人は多い。
 反社勢力といっても、孫を可愛がり、子供を慈し、家族を大切にする人たちも多い。むしろ大半がそうなのだが、「構成員が集団的に常習的に暴力的不法行為を行う暴力団に属していたり、その共生者であって」は排除の対象にされて当然だと思う。
 反社勢力を支持する政治家、弁護士、文化人は「私はこういう理由で反社勢力を支持する」と堂々と見解を明らかにすべきであり、メディアもその場を提供すべきである。その方が密かに支援活動をしているより、よほどマシだ、と思うからだ。

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