2011年7月29日 11時57分 更新:7月29日 12時16分
中部電力は29日、浜岡原発4号機(静岡県御前崎市)のプルサーマル計画をめぐる07年8月の国主催シンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院が同社に対し、シンポジウム参加者を集め、参加者がプルサーマル反対派のみにならないよう質問を作成し、地元の参加者に質問してもらうよう口頭依頼があったと発表した。九州電力の「やらせメール」問題を受けた調査で判明した。電力会社側だけでなく、保安院も賛成派などの動員依頼で「意見操作」に加担していた可能性が明らかになった。
同社によると、中部電本店原子力部グループ長は、保安院からの依頼を受け、シンポジウムの地元参加者が発言する内容の文案を作成。しかし、関係部署で検討した結果、特定意見を表明するよう依頼することは、コンプライアンス上問題があるとして、依頼には応じられないと決定、保安院に報告したという。
一方、中部電側は保安院からの依頼に加え、シンポジウム会場に空席が目立つのは適切ではないなどとして、社員や関連会社などに参加を呼び掛けた。参加の強制はしていないとしている。
シンポジウムは定員約600人。中部電の要請による出席者数は不明だが、「発言者には関係者はいなかったことを確認した」としている。また、事前に作成した質問文案などが使用されていないことも確認したとしている。
中部電は「直ちにコンプライアンス(法令順守)に反しないが、議論を誘導する意思があったとの誤解があったことを深く反省している」としている。
御前崎市で開かれたシンポジウムには、524人が出席した。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃料として再利用するプルサーマル計画に「賛成」「反対」の立場で識者各2人が討論し、参加者との質疑応答を行った。周辺住民ら12人が質問したが、計画推進や耐震性を懸念する内容が中心だった。
参加者アンケートには357人が回答。このうち、プルサーマルの必要性を「理解できた」「だいたい理解できた」と答えた人が合わせて59%に達した。中部電は「アンケートをよく見せる意図はなかったが、誤解を招いた」と述べた。【丸山進】