宮城県は28日、新たに4頭の県産牛から国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムを検出したと発表した。基準を超えた県産牛は計10頭となった。
新たに検出された牛のうち1頭は、26日に横浜市が行った検査では基準を下回っていたが、翌日の北海道の検査で基準を超えた。宮城県は、双方の市場や業者に自主回収を要請する。
県によると、北海道と横浜市で検査結果が異なったのは個体識別番号「08362―06799」の牛肉で、6月21日に仙台市の食肉処理場で解体された。横浜市の検査では基準以下の1キログラム当たり380ベクレルだったが、北海道の検査では530ベクレルを検出した。
宮城県は「検査部位や方法を統一しなければばらつきが出る可能性がある」として、検査に統一基準を設けるよう国に要請する考えだ。
ほかの3頭は5月20日から7月5日にかけて、東京都と仙台市に出荷された。その後、流通先の北海道と川崎市で検査し、いずれも基準をやや上回る1キログラム当たり506~665ベクレルを検出した。
川崎市によると、市内の2業者が3頭の肉を7月1日と6日に購入、うち2頭分の計約76キロが栃木県那須塩原市の業者に販売された。残りの1頭分の流通先は調査中。
(2011年7月28日)
東京電力福島第1原発事故を受け、政府や被ばく医療の専門機関が、放射線の健康への影響などについて市民の相談を受け付ける電話窓口を開設している。
経済産業省原子力安全・保安院は、原発事故の全般的な状況などの問い合わせに毎日24時間対応する。電話番号は03(3501)1505。
文部科学省は健康相談ホットラインを開設。放射線や放射線の影響に詳しい相談員が応対する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号フリーダイヤル(0120)755199。
放射線医学総合研究所は、被ばく医療や、放射性物質が体に付着した場合の除染方法などを解説する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号043(290)4003(11日から)。
首相官邸のホームページには原発事故に関連する情報がまとめて掲載されている。
東日本大震災と東京電力の福島第1原発事故は人々の暮らしを破壊し、日本を不安に陥れた。戦後史に刻まれた2011年3月11日。地震と津波は途方もないがれきの山を残し、原子炉から漏れ出した放射性物質との苦闘はいまも続いている。巨大な複合災害はこの国に何を問いかけているのか。危機管理の不在、原 発安全神話、技術立国の過信、名門企業のおごり。隠れていた負の遺産を直視し、新しい日本を創る道を探してみたい。
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