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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】原子力賠償法案 「国の責任」はっきり示せ
2011.7.29 03:08
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東京電力福島第1原発事故に伴う賠償を支援する「原子力損害賠償支援機構法案」と、国が賠償金を立て替える「原子力事故被害緊急措置法案」が衆院を通過した。
被害者救済への見通しが立ったことは一歩前進だ。しかし、与野党協議の結果も政府案から大きく修正されることはなく不十分と言わざるをえない。
特に、国の責任の具体的内容が明示されなかったのは問題である。「社会的責任として国が賠償に万全の措置を講じる」との抽象的文言を追加しただけで、東電負担の上限設定などに触れないのでは、最終的に国が責任を負うことにはなるまい。
法案の解釈があいまいになり、かえって被害者の救済に支障が出ることも懸念される。修正案に東電が債務超過に陥る事態を想定した文言はないが、付則で「法律の施行後早期に、国や東電、株主などで負担のあり方を検討し、必要な措置を講じる」としており、東電を法的整理する可能性を残したとも受け取れる。参院での審議ではこうした不透明な部分を含め、理解しやすい中身にする努力を重ねるべきだ。
損害賠償をめぐる議論には、最初からボタンの掛け違いがあった。原子力事故の際の補償を定めた原子力損害賠償法では、異常に巨大な「天災地変」の場合、電力会社は賠償を免責され、国が責任を負うと定めている。
しかし、菅直人政権は初めから、この条項の適用の可否を議論することなく、東電の「無限責任」を前提にしてきた。そこにそもそもの根本問題がある。
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