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ノルウェーテロ:極右対策見直し必至 「個人」把握強化へ

銃乱射事件のあったノルウェー・ウトヤ島の対岸で、キャンドルをともして犠牲者を悼む人々=2011年7月26日、ロイター
銃乱射事件のあったノルウェー・ウトヤ島の対岸で、キャンドルをともして犠牲者を悼む人々=2011年7月26日、ロイター

 【ベルリン篠田航一】ノルウェー連続テロ事件は29日で発生から1週間を迎える。発生時に一部で報じられたイスラム過激派による犯行ではなく、容疑者として逮捕されたのは逆にイスラム教徒や移民を憎悪する「極右」青年だった。欧州では事件後、今回のアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)のような極右のテロを阻止できなかった背景として、近年はイスラム原理主義者に警戒対象を限定しすぎたためとの指摘が出ており、治安当局は今後、極右対策の練り直しを迫られそうだ。

 地元紙によると、ノルウェー警察は2010年の年次報告書で「今後数年の脅威はイスラム原理主義者。極右は深刻な脅威にならない」と分析。「最近の極右は活動が鈍く、強力な指導者もいない」と指摘していた。

 北欧の極右問題に詳しいスウェーデンの雑誌「エキスポ」のダニエル・プール編集長は毎日新聞に「ネオナチは確かに沈静化傾向だが、反イスラムを掲げる極右はここ10年で西欧に増えている」と指摘した。

 英ノッティンガム大のグッドウィン講師もAFP通信に「欧州は国際テロ組織アルカイダの警戒に集中し、極右対策が抜け落ちていた」と話す。

 これまでの調べでは、容疑者はオスロの爆弾テロとウトヤ島の銃乱射の二つのテロを単独で実行し、爆弾も一人で製造していた可能性が高い。組織に属さず、特定の指導者も持たない人物が政府施設や与党を攻撃した事態を受け、各国は今後、極右思想を持つ「個人」の把握・監視を強めるとみられる。

毎日新聞 2011年7月28日 23時42分(最終更新 7月28日 23時46分)

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