2011年5月31日 21時38分 更新:5月31日 21時54分
東京電力は31日、福島第1原発2号機の原子炉建屋内で、使用済み核燃料プールを安定的に冷やす仮設の空冷循環式冷却装置の稼働を開始した。事故が起きた1~4号機では初めて。これまでの方法と異なり、注水量が大幅に減る利点がある。プールからの蒸発による高い湿度で悪化していた2号機原子炉建屋内の作業環境改善が期待される。
冷却装置は、これまでプールへの注水に使っていた配管を使って冷却水を原子炉建屋の外に引き出し、熱交換器を通して空冷塔で冷やす仕組み。熱交換器などの設備は、原子炉建屋に隣接する廃棄物貯蔵建屋に新設した。毎時約100立方メートルの冷却水を循環させ、現在70~80度あるプールを約1カ月かけて41度に冷やす。
東電は24日から、1~4号機で唯一、原子炉建屋が爆発していない2号機で、循環式冷却装置の設置作業を続けていた。
東電は4月17日に発表した事故収束までの工程表で、プールを冷やす熱交換器の稼働時期を「3~6カ月後」としたが、プールの冷却系配管が健全に保たれていたため前倒しした。1、3、4号機も、6月中旬から7月中旬に稼働する計画だ。
また東電によると31日午後2時半ごろ、福島第1原発4号機の原子炉建屋南側で、遠隔操作の無人重機によるがれきの撤去作業中に大きな爆発音がした。がれきに混じっていた酸素ボンベが破裂したという。けが人はいない。周辺の放射線の数値にも変動はなく、重機や建屋にも影響はなかった。【酒造唯、奥山智己】