2011年5月31日 9時42分 更新:5月31日 13時36分
厚生労働省が31日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント低下して0.61倍となった。悪化はリーマン・ショックの影響が残る09年11月以来、17カ月ぶり。有効求人数(同)が160万人で前月比1.7%減少する一方、有効求職者数(同)は1.8%増の262万人。厚労省は「東日本大震災の影響で部品調達難が強まり、被災地以外の雇用情勢も悪化した」と分析している。
有効求人倍率はハローワークの求職者1人当たりの求人件数。4月に新規で受け付けた求人分を示す新規求人倍率(同)は0.95倍と、前月より0.03ポイント低下した。岩手、宮城、福島の被災3県でみると、新規求人数(同)は、岩手7987人(前月比39.9%増)▽宮城1万5223人(同72.2%増)▽福島1万1633人(同65.5%増)--と大幅に増加した。
しかし、3県の新規求職者数(同)は岩手1万4532人(前月比86.7%増)▽宮城2万3755人(同143.1%増)▽福島1万5636人(同75.7%増)--と求人を大きく上回った。被災直後の3月に比べ雇用の場は増えているものの、被災地で職を求める人の急増に追いついていない状況だ。
一方、総務省が31日発表した労働力調査によると、東日本大震災の影響で調査できなかった岩手、宮城、福島3県を除いた4月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.1ポイント増の4.7%と6カ月ぶりに悪化した。男の完全失業率(同)は前月と横ばいの5.0%、女は前月比0.1ポイント増の4.2%だった。
厚労省は併せて、5月27日現在の被災3県の雇用状況も発表。震災翌日の12日以降に失業手当の受給手続きを始めた人は前年同期比2.3倍の11万4608人に上った。被災者を対象とした有効求人数は4万1731人分で、このうち3県以外からの求人が3万7628人を占めている。【鈴木直】