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解決情報 法務・コンプライアンス・リスク管理

【Q】顧客情報の捜査協力要請への対応は?

警察から捜査のために顧客情報を提供してほしいとの要請がありました。どう対応したらいいでしょうか?


【A】書面による照会を得てから提供するのが原則

個人情報保護法上は原則免責

警察は、捜査のために公私の団体等に照会して必要な事項の報告を求めることができます。したがって回答が全く支障のない事項であれば積極的に捜査協力をすることに問題はありません。
ところがむやみに顧客情報を公開提供する企業からは信用が失われてしまいます。また一般に企業は個人情報保護法上の個人情報取扱事業者であるため、法定の場合を除き個人情報を第三者に提供することはできません。
しかし警察の照会は法的な権限に基づくものであるため、法定の場合として法令に基づく場合が挙げられているため、警察の照会に協力するのであれば、一応個人情報保護法上は免責されることになります。


慎重な対応が必要

しかし免責されるからと言って、安易に捜査協力に応ずるのでは、顧客の信頼を保つことはできませんし、違法性を帯びるおそれもあります。
例えば警察官が、個人的な興味から架空の事件のための捜査協力文書を作成して個人情報を入手した事案もあります。また警察官自身が偽物の可能性もあります。したがって応じた企業の管理態勢が問われる可能性もあるのです。
したがって企業は捜査協力として顧客情報の提供を求められたときでも、原則として正式な「捜査関係事項照会書」の交付を待ってこれに応ずるべきです。疑念があるときはさらに電話で当該照会書を発送したか否かを確認するのがよいでしょう。
しかし犯罪捜査は、密行性(秘密保持)・迅速性が求められることもあるので、特に迅速な回答が必要な場合においては、例外的に正式な「捜査関係事項照会書」の発行を待たずに捜査協力すべき場合も考えられます。その場合でも警察官の身元は警察手帳を確認するなどして確かめるべきです。
顧客情報を管理する企業には慎重な態度が要求されていることを自覚する必要があります。

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「解決情報」の内容につきましては、作成時点における事実や一般的な解釈を示したものである点をご了解の上、ご活用下さい。


弁護士 井手 大作、リブロコンサルティング所属(2006年12月更新)


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