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キーパーソン

06月30日

圧倒的な行動力で地域振興


毎月第2土曜日に中心市街地で開催している都城ぼんち市で地域住民と話す岡崎さん(中央)

毎月第2土曜日に中心市街地で開催している都城ぼんち市で地域住民と話す岡崎さん(中央)

 全国有数の牛、豚、鶏肉の生産量を誇る都城。一大畜産地帯の商工会議所会頭として「農業を抜きにしてこの地域の発展は考えられない」と断言する。だからこそ目標は商工業に農業も加えた全産業による地域振興。それを支える「産業会議所」だという。

 「地域のために何ができるか」。常に念頭に置く。2008年10月から、都城市の中心市街地で毎月第2日曜日に朝市「都城ぼんち市」をスタートさせた。市内に大型複合施設が相次いで進出し、苦境に立たされていた中心市街地。副会頭時代、「会議所に加盟してもイベントもなくメリットがない」という不満も聞いていた。市街地を元気にしようと川南町のトラック市を参考に、歩行者天国にした通りに農水産、加工品などを販売する市内外の70店舗以上が軒を連ねる。動き初めて約2年半。毎回1万人以上を集客する恒例行事として市民にも定着してきた。

 何かを思い立てば即、実行に移す。周囲も認める圧倒的な行動力は幼少時代からという。警察官だった父親が40代で興した鶏卵卸問屋に高校卒業後、入社。その後、親子で県内の鶏卵販売シェアで県内トップの企業にまで育て上げた。「会う人誰もが自分の卵を食べてもらっているお客さん」と肝に銘じてきた。そのおかげで上下なく人と付き合うことができ、幅広い人脈を培ってきた。「人脈は大きな財産。商売でも随分助けられた」との思いは強い。

 60年以上の自らの人生を映すように、商工会議所会頭に就任後、会議所のキャッチフレーズに「フットワーク(行動力)」と「ネットワーク(組織力)」を掲げた。1929(昭和4)年に設立された県内で最も古い商工会議所で、地元を代表する歴代の企業トップが会頭にも名を連ねる。ただ、近年は会議所に対し、地域に貢献する姿勢が欠け、仕事自体が見えにくいという指摘も受けていた。

「親しみやすく活力ある会議所を目指したい」と語る岡崎さん

「親しみやすく活力ある会議所を目指したい」と語る岡崎さん

 目指すのは「親しみやすく、活力ある会議所」。非常勤ながら平日の午前中は極力、会議所に顔を出す。まずは内部改革からと、職員の倫理観や職業意識を醸成するために朝礼の内容を変え、対外的にも職員が分かりやすいようにと名札を配布。カウンターには席順を置くなど細かな気配りも欠かさない。「指示した以上の仕事を率先してできる人間を良馬と例えるなら、そんな良馬をできるだけ増やしていきたい」

 長期的な課題については、行政とも積極的に連携を図る。都城志布志道路の早期完成や中心市街地の活性化のため、民間団体も時には県境を越えて関係機関に呼び掛けて立ち上げ、行政を後押しする。

 一方で会員はピーク時の約2400事業所から約1800事業所までに減少。景気低迷に加え、この1年は口蹄疫や新燃岳噴火、都城大丸の閉店などが拍車を掛け、農業だけでなく商工業者も疲弊した。そんな苦境にあっても、新燃岳の灰を使った地元製品を県にPRするなど「逆境を逆手にとろう」と意気盛んだ。新たな事業として5月に婚活イベントを開催した。「とにかく何かやっていかないと」。スーツにウオーキングシューズをはき、フットワーク軽く動き回っている。

ここが聞きたい


 -老舗百貨店の都城大丸が1月に閉店した。中心市街地の今後の見通しは。

 市内にイオンショッピングセンターやイオンモールが進出したのが致命的だった。再開はしてほしいが、百貨店業界の現状を見ると簡単ではないだろう。中心部もシャッター街が増えている。都城大丸があった中央通り45番街では、IT産業ビルにある都城ケーブルテレビが地域活動に貢献していただいている。夏の祇園祭に山車を出してもらったり、今年は通りの両側に花を飾ろうという計画もあるので盛り上げていきたい。

 -高規格道路・都城志布志道路はなぜ必要なのか。

 4月19日に本県で初めて梅北-五十町間が開通した。畜産基地の都城は志布志港から飼料を運んでいる重要な道路。開通すれば、都城にも企業が進出する可能性は十分にある。雇用創出の期待も高い。ただ、今回の震災で予算が削減されることを懸念している。

わたしのオススメ


 これまでは大好きなゴルフを月5回程度楽しんでいたが、会頭に就任してから月1回程度しか行けなくなったのは残念。以前は健康維持のために毎朝、近所を歩いていた。最近は歩く時間が限られてきたのでゴルフ場でもカートは使わず、18ホール歩き回っている。

 会頭になって44種類もの役職を任され毎晩のように酒宴に招かれる。酒はそう強くなく、飲むのは焼酎のお湯割り。それも焼酎2割程度の薄目。深酒はせず帰宅は必ず午後10時で、極力歩いて帰るようにしている。最近のもっぱらの楽しみは孫と過ごすこと。(談)

プロフィル


おかざき・まこと 鹿児島県末吉町出身。県立都島高校(現・都城工業高)を卒業後、1961(昭和36)年、実家の鶏卵卸問屋岡崎商店(現岡崎鶏卵グループセンター前身)に入社。グループ内企業の取締役を経て、86年、同グループ社長に就任。2007年4月に長男誠一氏に社長を譲り、同グループ会長に。都城商工会議所では副会頭2期目の途中、同年11月に12代会頭就任。現在2期目。九州鶏卵流通協議会前会長、都城経営者同友会会長。都城市在住、68歳。
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