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◆第93回高校野球選手権宮城大会 ▽決勝 利府1―3古川工(26日・Kスタ宮城) 古川工が春夏通じて初の甲子園出場を決めた。エース・山田大貴(3年)が被安打6で1失点完投。打線も6回以降7安打を集め、大黒柱の右腕を援護した。宮城県からは9年ぶりの公立校の代表となる。東日本大震災で震度6強を記録した県北の大崎市からは初の甲子園出場だ。
あとアウト1つ。マウンド上で山田はKスタの雨空を見上げ、目を閉じた。「俺は支えられている」一塁側スタンドから届く全校応援の声に、1人じゃないことを再確認。フォークボールで最後の打者を空振り三振に仕留めると、こん身の力を込め両手を突き上げた。
「球場全体がワーっとなった瞬間は絶対に忘れられない」。2回戦(対名取)の1イニングを除き6試合で51イニングを投げ抜いた。大黒柱は仲間たちに抱きつかれ、歓喜の輪の中心にいた。
チームは初めから一つだったわけじゃない。昨秋の地区大会は2戦目(対鹿島台商)で敗退。敗者復活戦を前にエースへの不満が爆発した。3年生部員だけでグラウンド上で6時間のミーティング。「声をかけても無視する。お前の後ろで守るのは嫌なんだよ」。打たれればすぐキレる背番号1に野手陣は容赦ない罵声(ばせい)を浴びせた。その“事件”以来、山田は心を入れ替えた。練習でも打撃ケージを片付けるなど雑用を率先。「見えないところでも積極的に動く。以前は見られなかった」。間橋康生監督(40)も心の成長を実感した。
指揮官はすべてを野球にささげて大願を成就させた。7年前の赴任と同時に一軒家を2つ借りた。一軒は家族用、もう一軒を遠方から入学した選手用にした。6年前に由利子夫人(38)と結婚したときには、「挙式翌日から生徒がいた。かわいそうなことをしました」。自家用車には野球用具を積み込むために10人のワゴン車を選んだ。
甲子園に行くためには東北、仙台育英の私学2強を倒さなければならない。練習量は想像を絶した。以前は午後7時に終わっていた練習が、自主練習も含めると午後10時過ぎまで続いた。年間100試合の練習試合は全てビジター。「審判も全部現地の方。厳しい状況で勝たなければ2強には勝てない」岩手・花巻東など東北の強豪だけでなく、自らハンドルを握り近畿遠征も繰り返した。
1000年に一度の大災害を経験した特別な年の特別な大会―。周囲は騒ぐが、指揮官に気負いはない。「沿岸の方に比べれば我々は恵まれている。だけど気負って野球をすることはない」ただ野球をすればいい。甲子園でひたむきなプレーをすれば宮城に勇気を与えられることを古川工ナインは知っている。
◆利府また準Vも「完敗」 小さな左腕の夢は、かなわなかった。敗戦後、利府の168センチエース・加藤駿(3年)の目は真っ赤に腫れていた。「甘い直球を打たれました」。6回2死から3連打を浴び、先制点を献上したことを悔いた。
東日本大震災で、自宅は津波で全壊。約1か月後に練習が再開されるまで、左のエースは校舎の周りを2時間以上も走り続けた。靴は津波で流され、右足の小指の部分が破れた靴でも、構わず走った。すべては、両親を聖地に連れて行くためだった。
利府にとって夏は4回目の決勝戦だったが、またしても準V。小原仁史監督(48)は「完敗。相手が強かった」。1986年から12年在籍した古巣の強さを素直に認めていた。
(2011年7月27日13時37分 スポーツ報知)
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