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ネット上に反イスラムなど犯行に至る心情吐露―ノルウェー・テロ事件で


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 【オスロ】多くの犠牲者を出したノルウェーのテロ事件の容疑者が犯行直前にインターネット上で発表した1500ページに上る声明によると、容疑者は欧州での文化の多様化とイスラムの台頭に対抗して武器を取る呼び掛けの一環として、今回の攻撃を数年間細心の注意を払って計画していた。

 逮捕されたあと、テロ攻撃を自供したアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)は、22日のオスロ市内での自動車爆弾テロとウトヤ島での銃乱射を実行する直前に、ネット上でこの声明を公開した。犠牲者の数は少なくとも93人に上り、ほとんどが10代か20代だった。

 声明はアンドルー・バーウィックという英語の偽名で公開されており、銃愛好のナショナリストで、移民反対の考えを持ち、イスラム支配の脅威をもたらす恐れのある、欧州における「文化的マルキスト」の政治環境に反感を持つ容疑者の姿が浮かび上がる。

イメージ Reuters

ブレイビク容疑者によってネット上に公開されていた容疑者本人の姿。

 自分自身については「バイキングの末裔であることに誇りを持つ」一匹おおかみとしており、事件発生当初多くの人が犯人と考えたイスラム過激派とは対照を成している。最近までオスロ西部で母親と暮らしていた同容疑者はイスラム過激派とはかけ離れたところにおり、しばしばネット上で、欧州におけるあまりに融和的な多文化主義と「イスラム植民地化」に反対する主張を展開していた。

 容疑者が極右であることが判明したことで、北欧の多くの国で反移民を訴える極右政党が躍進していることがこうした暴力的事件を起こす底流になっているのかどうか、という議論が高まるのはほぼ確実だ。

 「2083年―欧州の独立宣言」と題したこの声明の執筆には何年もかかったとみられる。この中で、ブレイビク容疑者は、化学薬品の購入と爆弾の実験など、犯行の準備を事細かに記しており、テロ攻撃が世間の大きな関心を呼ぶことについても言及している。

 同容疑者は例えば、「抵抗や警察との敵対、尋問のシナリオ、裁判の公判、メディアとのインタビューなどのさまざまなシナリオについて具体的に想定している」と書いている。また、「いったん攻撃すると決めたら、不十分なよりは多すぎる人を殺した方がいい。そうしなければ、所期の思想的インパクトが弱まってしまう恐れがある」と述べている。

 ブレイビク容疑者のこの声明は、ウェットスーツを身に付け、自動小銃を持った自分の姿を写してネットに流したビデオとともに、多くの人々を殺す可能性のあるキリスト教の十字軍的な行為に着手するしか選択肢のない哲学者戦士というイメージを描き出している。

 また、自分自身とのインタビューでは、自分は中流の「普通のリベラルな」家庭で育った平均的なノルウェー人だとし、その保守的な考え方は、同国の右翼政党「進歩党」の青年部に所属していた十代の間に固まったとしている。

Wang Qingqin/Xinhua/Zuma Press

オスロの聖堂外にて(24日)。国中で追悼ミサが行われた

 オスロの警察当局によると、同容疑者は自殺を図ることもなく、逮捕には抵抗せず、武器を置いて投降した。逮捕されてからも落ち着いており、自分自身と攻撃の理由について説明したがっているという。

 考えられる犯行の動機についてオスロ警察はほとんど詳細を明らかにしていない。一方、現在は既に閉鎖されたフェイスブックで同容疑者は自分のことを保守的なキリスト教徒で、狩猟などが趣味だと書いていた。警察の記録によれば、容疑者は2丁の銃の許可証を持っているという。

 また、2年間にわたり、個人での農場経営者として登録されており、野菜と果物の生産をしていたことになっている。ノルウェーのメディアはこの登録によって大量の肥料を購入することができたとみている。肥料は爆弾の材料になった可能性がある。

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