東京電力福島第一原子力発電所の事故による被ばくの影響などを調べる、福島県の健康調査で、一部の住民に行った「内部被ばく」の検査の結果を本人に直接伝える説明会が、23日から始まりました。
福島県の健康調査は、県内のすべての住民を対象に、原発事故による被ばくの影響などを調べるもので、このうち2900人余りが、呼吸や食事などで体内に放射性物質を取り込む「内部被ばく」を引き起こしたかどうか詳しい検査を受けています。23日は、検査結果を本人に直接伝える初めての説明会が開かれ、浪江町の住民23人が参加しました。参加した人たちは、県の担当者から検査結果の入った封筒を受け取ったあと、内部被ばくの数値の求め方など、結果の読み取り方について、放射線医学総合研究所の専門家から説明を受けていました。このあと、個別の質問を受け付ける時間も設けられ、「検出限界以下であっても、放射性物質が体内に入れば、影響があるのではないか」とか、「尿と共に放射性物質が排出されても、それまでに被ばくした分は大丈夫なのか」といった不安の声が寄せられたということです。説明会のあと、参加した女性は、「数値の説明は難しく、すべては理解できませんでしたが、とりあえず放射性物質が検出されなかったと聞いて、自分も一緒にいた家族も大丈夫だろうとほっとしました」と話していました。福島県は、今月29日と30日にも「内部被ばく」の検査結果について、説明会を開くことにしています。
東京電力福島第一原子力発電所の事故による被ばくの影響などを調べる福島県の健康調査で、これまでに詳しい検査を受けた122人の結果が判明し、呼吸や食事などで取り込んだ放射性物質による「内部被ばく」は、全員1ミリシーベルト未満であることが分かりました。これは、福島県の依頼で浪江町と飯舘村、それに川俣町山木屋地区の住民、122人の精密検査を行った放射線医学総合研究所の明石真言理事が、23日、住民に対する検査結果の説明会のあと、報道陣に明らかにしたものです。明石理事によりますと、先月27日から行ってきた内部被ばくの検査が終了し、内部被ばくは、122人全員が1ミリシーベルト未満で、このうちおよそ半数の人からは、放射性物質が検出されなかったということです。もっとも多くの放射性物質が放出された時期から3か月以上たっていたため、放射線の量が半分に減る「半減期」が8日と短い放射性ヨウ素は検出されず、検出されたのはすべてセシウムだったということです。明石理事は、「住民の内部被ばくは、事前に予想していたより少なく、健康への影響は出ない量だった。ただ、住民への説明会でも、体の中に放射性物質が入ること自体に不安を抱く人もいたので、今後も、機会があるごとに、さらに細かく説明していきたい」と話しました。
福島県のすべての県民を対象にした健康調査は、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、住民それぞれが、どのくらい被ばくしたかを推定し、健康への影響を継続的に調べるものです。全県での調査開始を前に、比較的放射線量の高い浪江町、飯舘村、それに川俣町の山木屋地区の住民、合わせておよそ2万8000人について、先月から先行調査が始まっています。この調査では、対象となった住民全員に、震災が起きた3月11日以降の行動を問診票に記入してもらい、それを基に外部からの被ばく線量を推定します。また、対象となった住民の中から、幼い子どもやその親など2900人を選び、体の中に入り込んだ放射性物質によって被ばくする、「内部被ばく」の状況を詳しく調べるため、尿に含まれる放射性物質の分析や、ホールボディーカウンターと呼ばれる専用の装置を使った検査を行っています。23日の説明会は、この内部被ばくの検査結果を伝えるため、浪江町の住民を対象に開かれたもので、福島県は、今後、飯舘村や川俣町の山木屋地区の住民に対しても説明会で検査の結果を伝えることにしています。福島県は、今回の先行調査の結果を基に、検査方法などの課題を洗い出し、来月から、全県民を対象にした「本格調査」へと移行したいとしています。