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きょうのコラム「時鐘」 2011年7月26日
国民栄誉賞には時の政権の人気取りという声が、大概ついて回る。女子サッカー「なでしこジャパン」の場合、官房長官が言下に否定した。「表彰で政権浮揚するなら、そんな楽なことはない」
ごもっとも、と苦笑するしかない。女房役まで愛想を尽かす。そんな首相に褒められる「なでしこ」は、どんな気分だろう 相撲ファンは、引退した大関魁皇が気になる。国民栄誉賞を受けた千代の富士をしのぐ最多の白星達成だから、受賞の資格はある。「なでしこ」の快挙に「私も諦めない」とトンチンカンを口にした首相だが、なぜか魁皇の偉業と潔い引退には、だんまりを決め込む。首相談話に値する、とファンは不満である 内閣支持率は最低の17・1%。もっとも、人気ある政治家が良き為政者とは限らない。わが3代藩主利常のように、鼻毛を伸ばして暗愚を装った名君もいた。だからひょっとして、と酷暑でへばる頭の中に、一つの空想が浮かぶ 魁皇にも国民栄誉賞が決まる。首相は引き際を称賛し、「今度こそ私も即刻辞める」。支持率回復は疑いなし。賞を「政治利用」する絶好のチャンスのはずだが。 |