国連安保理はソマリア情勢がテロや海賊行為など依然として不安定要素を抱えたままであることに深い憂慮の念を表した。安保理の出した声明には現行の海賊対策に追加措置が必要であることが強調されている。
東アフリカ沿岸部とインド洋の大部分は航行危険地域となっている。この水域で海賊の襲来を受ける船舶の数が次第に増している。米国沿岸警備隊の調査によれば昨10年9月より80隻以上が海賊の襲来を受けた。その半数近くが身代金など海賊側の要求を聞き入れざるを得ない結果に終わっており、その額は平均で550万ドルに上った。
これについてロシア科学アカデミー海洋法研究所の専門家のヴァシリー・グツリャク氏は個々の国がとる対策や現行の規則によるメカニズムでは海賊を抑えることはもはや不可能としてこう語る―。
「状況はコントロールを失っている。しかも最も怖いのは海賊が沿岸部にとどまらず、沖でも略奪行為を行うようになっていることだ。こうした広大な水域を網羅するためには、海洋大国でさえ各々の努力では力不足であり、国際社会全体が尽力する必要がある。このため安保理が追加措置をとることは歓迎のひとことにつきる」
追加措置を講じるには合意作業が残っている。ロシア代表団は近日中に安保理に海賊対策の新たな決議案を送る。ロシアのヴィタイリ・チュルキン国連大使は、決議案は問題の総合的な解決を目指したものになると語る。最も重要な方向性は、海賊行為が未だに法の審判を受けていないという事実にいかに対処するかということだ。残念ながらこのための法基盤は存在していない。このため、各国の海軍の船舶によって拿捕された海賊らが何の咎めも受けずに解放される例が相次いでいる。これを憂慮し、ここ数年、海賊行為を裁く国際法廷の創設を求める声が上がっているものの、国連の場ではこの声は一致したものとして響いてはいない。
21世紀の悪、と一部のマスコミに称されるこの海賊行為はソマリア情勢の正常化なくして根絶することは不可能だ。ソマリアは現在国が事実上崩壊し、複数の武装戦闘団の支配下にある。だからこそ、ソマリア正常化にむけた国際的な戦略を策定する必要性に迫られる。チュルキン国連大使は、ソマリアは軍事的政治的転機を迎えねばならないとの見方を示す。そのためには市民社会が一致団結し、ソマリアの治安維持機関が強化されることが不可欠だ。
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