官房機密費の使途照会へ 自民・河村氏を不当引き出しで告発

2010.08.07


河村健夫氏【拡大】

 昨年の衆院選の直後、自民党の河村建夫官房長官(当時)が内閣官房報償費(官房機密費)2億5000万円を不当に引き出したとして、詐欺と背任容疑で告発されている問題で、東京地検特捜部は、内閣府に使途を照会する方針を固めた。朝日新聞が報じた。

 衆院選で自民党は大敗。民主党への政権交代が決まったが、河村氏は投票から2日後の昨年9月1日、2億5000万円の機密費を引き出した。この事実は、鳩山政権の平野博文官房長官が同年11月に公表して発覚した。

 機密費の使用額はそれまで月々1億円程度で、2億円以上の引き出しは明らかに異常。そのため、大阪市の市民団体が今年1月、「自民党議員の個人的な利益を図るのが目的」などとして河村氏を告発。鳩山内閣も2月、「異様な支出」とする答弁書を閣議決定した。

 自民党政権時代、機密費は国会対策をはじめ、海外視察に行く議員への餞別、重要選挙の軍資金に充てられたとされる。その後、外務省職員による不正流用事件などを受け、2002年に取り扱い要領が策定された。

 取り扱い要領では、領収書や「出納管理簿」などの支払い関係書類を「5年間保存し、犯罪捜査の対象として捜査当局から求めがあった場合、(職員は)官房長官の同意を得て使用する」と規定されている。

 捜査当局が官房機密費の使途を照会するのは初めてとみられる。出納管理簿には支払先の記載欄もあるが、取り扱い要領には「支障があると思われる場合は省略できる」との注記があり、支払先の記録がどの程度残っているかも不明。捜査のメスがどこまで入るのか注目される。

 

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