―峠に爆音が響き渡る―
Rのキツい上りのカーブ、ジーンズに装着したプロテクターを擦りながら一台のバイクが凄まじい速度で駆け抜けていく。
峠道を行ったり来たり、一度も止まること無く、一定の区間を走り続ける。
一般人には理解しがたいその行為、一般人…というのもおかしな事か、彼もまた一般人なのだ。ただの社会人、ただの男、ただのバイク乗り。
目前にカーブが迫る。無表情のまま、左足でペダルを2回、トントンと踏み込む。タコメーターの針が一気に跳ね上がると同時にそれに応じた量だけアクセルを開ける。
ステップに強く力を込め、車体の左側に加重を目一杯かけてカーブを抜けていく。
確かに、普通に見れば自殺行為なのだろう。慣れた道とはいえ、動物が出てくるかもしれない。対向車がハミ出してくるかもしれない。公道はサーキットではない。何が起きるかはわからないのだ。
何が彼をここまでの速度で走らせるのか、対戦相手がいる訳ではない。一昔前ならともかく、今や世間では完全に『悪』と見なされた峠小僧たちはもういない。
金が貰える訳でもない。誰かに自慢する訳でもない。褒めて欲しい訳でもない。
ただ、がむしゃらにアクセルを開け、バイクを制御する。ただただ速く、数秒前の自分よりも速く。
きっかけは父親だった。昔の写真を見せながら、いつもとは違う笑顔を見せる父親を見て、彼は昔からバイクにあこがれていた。
「……ふぅっ」
一旦止まり、時計を見る。もう正午を過ぎていた。
「おぉ…昼飯だ」
腹はあまり減っていなかったが、彼は時間で飯を食べる派だった。どうでもいい話ではあるが。
鼻歌を歌いながらリュックサックからコンビニで買ったおにぎりと麦茶を取り出す。まだ暑い時期ではないが、おにぎりも麦茶も生暖かくなっていた。
「んーもう2,3往復して帰るか」
Kの文字の入った250ccのバイクに跨り、また何かを求めるように走り出す。
若気の至り、という訳ではないが、彼は自分は『道路の染み』となるなど思いもしなかった……。
「…っ!」
走り出し、彼が自分で決めたルートを2往復したころだった。対向車の軽トラックが曲がりきれずガードレールに接触、横転し彼の進路を遮った。
バイクという機械を操りだして3年、普通に乗るだけでなく必要以上に訓練した彼は対向車が少しくらいはみ出して来る程度なら避ける自信はあった。だが、これは…。
彼が最期に見たのは頭から血を流しながら目を見開いた初老のドライバー、白い車体、そして、ガードレール。
彼の体は投げ出され、ガードレールを越えて崖下へと消えた。
こうして、21歳、彼女無し、うだつのあがらない社会人だった佐々木良太の人生は終了した。
そう、『この世界』では。
「んっ?」
目を覚ます。良太は草原に大の字で寝ていた。
「あ…れ? 俺……」
頭に手を当て、ハッと気づく。ヘルメットが無い。
「…あれ、脱いだのか? っていうか、どこも痛くない……」
あの一瞬、痛みは感じなかった。当たり所がよかったのかとも考えたが、そんなはずは無い。確かに落下していく自分も認識していた。
上半身だけ起こし、全身をチェックする。ヘルメットはしていないが、頭にタオルを巻いている。血は出ていない。
「手…足、折れて無いな」
ナックルガードがついたメッシュグローブ、膝パッドが入ったジーンズ、そしてダブルタイプのレザージャケット。どこも破れていない。
「あっれぇ……」
立ち上がってみても異常は無い。考えれば考えるほど訳が分からない。
「ってーかここ、どこだよ」
そう、さっきまで自分は郊外の峠道を走っていたはずだ。今自分がいる場所は遠くに山は見えるが、多少の隆起があるずいぶんと見渡しのいい平原。峠道を走り崖から落下した自分がいるはずが無い。
ポケットからガムを出し、口に入れる。ハーブミントの味が口内に広がり頭がすっきりする、が、やっぱり訳がわからない。
「アレか、今俺は実は救急車で運ばれてて、夢でも見てるとか……あ、会社どうしよ…」
なんとも暢気な話ではある。というより、ここまではっきり考え事ができる夢などあるだろうか。
「とりあえず、ちょっと歩いてみようかな」
何事にも前向きな彼はとりあえず周囲を散策してみる事にした。
彼は気づいてはいない、ここでの行動は『元いた場所』の数倍、自分のこれからに関わる選択肢となることを…。
―草原、良太に近い場所―
「はぁっはぁ…!」
少女が草原を駆ける。走る速度は並の成人男性よりも速い。すばやいというよりも脚力の問題か、その小さな体では信じられないスピードで走っている。何かから逃げるように。
「いたぞー! はやく! こっちだ!」
幌のついていない馬車に乗った3人の男、格好は『その世界』の一般的な格好だが、手には棍棒、鎌、弓矢。その3人とは別に1人、鉄製の胸当てや籠手、肩に大きな剣を下げている。
少女の足は確かに速かったが、馬には勝てず、目の前に回りこまれた。
「気をつけろ! 近づきすぎるなよ!」
禿た男が少女から目を逸らさずに仲間に注意を促す。目の前の少女はまだ10歳にも満たないだろう。そんな少女に全員が敵意と恐怖を抱いた視線を浴びせていた。
「…おい、どいてろ」
「いえ、先生はお待ちください。我々でどうにもならない場合の約束です」
鎧を纏った一際背の高い男の言葉に少々細身の男が答える。
「…好きにしろ。ただし、手を出さなくともある程度の金は貰うぞ」
舌打ちしながら馬車の傍まで鎧の男が下がる。その他の男はジリジリと間を詰める。
「…いや、ぃゃ…私、なんにもしてないよぅ…」
「同情ひこうったってそうはいかねぇぞ化物…!」
懇願する少女に男たちは尚も恐怖を浮かべたままジリジリと近づいていく、だが、空気の読めない青年もその場に近づきつつあった。
「おぉっなにこれ馬車? お、お兄さんなにそれ、本物ですか? その鎧! あっ! 剣まで!」
間抜けな声にちらっと横を見る鎧の男、足音からこの青年、さっきから近場をうろうろしていた良太の存在には気づいていたが、こんな間抜けな問いをしてくるとは思っていなかった。
「なんか用か?」
「あ、いえ…なんか人が集まってたんで……なにやってるんです?」
「…取り込み中だ」
投げやりな鎧の男の返答に一瞬たじろぐが、元々好奇心の塊のような人間は止まらない。
どうせ夢なら楽しんでしまおうと開き直ったのか、良太は興味津々に馬と鎧の男の間を行ったり来たりする。
「な、なんだお前、どこから来た!」
「うちの村のヤツじゃねぇな? 何者だ!」
鎌を持った男と弓を持った男が良太へと向き直り、敵意をあらわに問いかける。
「え、ちょっ! なんですか!?」
「こっちが質問してんだ! 何者だ! 何の用だ!?」
男達が良太に気が向いたその一瞬、少女が男達の影から飛び出し良太の後ろに隠れる。
「おっ?」
「あっ、おい! お前、そいつの仲間か!?」
「だったら容赦しねぇ! おい、逃がすなよ! 囲め!」
あっという間に3人に囲まれた良太、いよいよただ事じゃない雰囲気に気づく、というよりも男達の手に持った武器を見てようやく気づいた。この人達はヤバい。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! なんですか仲間って! っていうかこの子が何かしたんですか?」
「何言ってんだ! そいつは人間なんかじゃない! 竜だ! 災いをもたらす神だ!」
「子供のうちに殺しておかねぇと! うちの村じゃずっと昔っからの言い伝えなんだ!」
怯える少女を背中に庇った良太に男達の敵意は更に強いものとなった。それに対して良太の表情はまた間抜けなものになる。
「竜? 災い? なに言って…」
「いいからその子を差し出せ! 殺して、山に捨てなきゃなんねぇ!」
「いやいや……どうしようか…」
ジリジリと間合いを詰めてくる男達、喧嘩をしたこと無い訳では無いが、鎌や棍棒を持った大人を制するほどの能力は良太には無い。当然だ、ただの一般人なのだから。
「ちょっと待ってくださいよ!」
「うるせぇ! 逃げられる前に! 仲間を呼ばれる前にやっちまえ!」
叫びながら男が走りより棍棒を振り下ろす。
「ひっ!」
短く叫びながら少女を庇うように飛びのく良太。鈍い音と共に地面に小さな小さな窪みができる。
「マ、マジかよこいつ…!」
「うぁらぁっ!」
尻餅をついた良太に男がまた棍棒を振り下ろす。
「うひぃ!」
「んなっ!?」
完全に躊躇無く振り下ろした棍棒を良太の素手ががっちりとつかむ。
「えっ?」
「くっ…離せぇ! なんて力だコイツ!」
男がギャーギャー喚きながら両手で棍棒を引っ手繰ろうとしているが、別に力を入れてる訳ではない。何度目の間抜け面だろうか。だが、なんとなく理解できてきた。
「あ、そうだわ。俺の夢だもんな」
手を離す。反動で無様に尻餅をついた男の顔面に蹴りを叩き込んだ。
「ひっ…ぎぃ! 鼻が…鼻がァ!」
鼻血を撒き散らしながら蹴られた男がのた打ち回る。あまり喧嘩慣れしていない良太にとってはそれは決して気持ちのいい光景ではなかった。
続いて、鎌を持った男が怯えた声を出しながらめちゃくちゃに鎌を振りながら突進してくる。冷静になった良太はとりあえず鎌を手で止め、これまた顔面に拳をめり込ませた。
「おぉ、すげぇ…グラップラー俺って感じ?」
武器を持った大の男を一撃で戦闘不能にした自分に驚きを隠しきれない。鎌を止めた時もなんの衝撃も感じなかったし、ちょっと集中して見たらまるで止まっているようだった。
「すごい! お兄ちゃんすごい!」
「え? へへっ…すげぇな俺!」
「テメェ! 動くな!」
調子こきまくりの良太に弓を持った男が狙いを定めて叫ぶ。恐怖で手が震えている。素人の良太でもあれは当たらないと直感した。
「ちょっと落ち着いてください。とりあえず話し合いませんか?」
「化物め……!」
男が弓を引き絞る。当たらないだろうとは思ってもやはり少し怖い。後ろの少女に当たっても問題だ。一瞬良太がたじろぐ。
「おい、まぁまて、ここからは俺の仕事だ」
「先生……はい、お願いします…!」
鎧の男が割って入った。肩に下げた剣を抜く。人一人くらいは真っ二つに出来そうな大きな剣だ。
「お前…本当にナニモンだ? 動きはまるっきり素人だが……」
「素人ですよ……でも、今はスーパーマンかも?」
ビビりながらも『ここが自分の夢』と思い込んでいる良太はドヤ顔で答える。鎧の男は真剣な顔をしたまま眉も動かさない。
「そうか…まぁ、とりあえずお前をぶっ殺してその子を村に渡すのが俺の仕事らしいんでな。悪く思うなよ」
「うっ…!」
一閃、さっきの男が振った鎌や棍棒とは比較にならないスピードで横薙ぎの一撃を繰り出す。間一髪、腰を屈めて避ける良太。
「潜った…? 人間の反射神経じゃねぇな」
「い、いや…無理だろコレ!」
驚いたのは両方だった。鎧の男が驚いたのは、必殺と思えた速度で胸辺りを狙った横薙ぎを、降り始めた後に屈んで避ける反射神経と動体視力。確かに人間のソレではない。
そして、良太が驚いたのは明らかに人を殺すことに躊躇の無い一撃、さっきの棍棒や鎌とはレベルが違う。直感で感じた。この人は人を殺した経験がある。
「いつまで逃げ切れるか。まぁ武器もねぇんじゃたかが知れてるな」
「うっ……ちょ、ま…」
言い終わる前に一閃、二閃。肩口から斜めへ抜ける袈裟切り、良太が下がって避けた瞬間に体を回転させ、横薙ぎの剣撃。それも屈んで避ける良太。
避けれてはいるが、後ろに少女を庇っているのは忘れてはいない。いつかは追い詰められるだろう。
「ちょ、ちょっと待ってくださいって! マジで!」
「テメェがそこをどいてその子を差し出すってんならいつでも止めてやるよ」
「今更そんなことできんでしょうよ!」
剣撃を避けた際に掴んだ砂を鎧の男の顔面に投げつける。目潰し作戦だ。
「うっ!」
「よっしゃ! おい、えーっと…」
その後の事を考えてなかった。
「お兄ちゃん!」
少女が良太のズボンを引っ張る、妙に力が強い気がしたが、それどころではなかった。
「と、とりあえず!」
「とりあえず?」
「逃げるんだよォォォー! ほら、行くぞ!」
少女を脇に抱える。予想通りとても軽く感じる。いくら小柄な女の子とはいえ、おぶさるのではなく小脇に抱えての全力疾走など、鍛えていない良太にできる訳がないのに、だ。
それだけじゃない。走るのも異様に速いし息切れもほとんど感じない。
「だっはははっ! 夢様様だなオイ!」
「あっちー! あの山! 私の家があるよ!」
「よし来た!」
子供一人抱えているとは思えない速度で逃げていく良太、さっきの戦いを見て弓を持った男は完全に自分には無理と追うのを止めていた。
―どこかの山奥―
良太と少女は森を歩いていた。少女は山を歩きなれているようですいすい進んでいく。対して良太は、まったく息が切れないが歩きなれていないため、情けないことだが少女に続く形になっていた。
「んー、まずは名前からだな。名前、なんてーの?」
「ルーニァだよっ」
良太の問いに元気よく答える少女、白磁の肌に紺碧の瞳、鮮やかなセミロングの金髪。はっきり言って、可愛い。育てば美人になるだろう。
「そりゃ、外人だよなぁ。日本語うめぇ…」
「ニホンゴ?」
言ってから気づく、そういえばここは自分の夢だった。言葉の壁なんて政治家の謝罪並みに薄いだろう。
「お兄ちゃんは? どこから来たの?」
「うん? おぉ、佐々木良太って言うんだ。どこから来た…か、どこからだろ?」
どこから来たのか、というより、どうなるのかわからんというのが本音だろう。目が覚めれば病院……仕事先や親の事を考えると目を覚ますのが怖いような気がする。
「ササキリョウタ……」
「リョウタでいいよ」
ふと足を止め、こっちを向いた女の子になるべく優しくそう返す。
ロリコンでは無いが、子供好きだ。ついでに言うと美人に優しい。モテないが。
「リョウタ、助けてくれてありがとう」
「ん…あぁ、どういたしまして、かな」
ジッと見つめながらかみ締めるように言うルーニァの姿に一瞬圧倒されるリョウタ。一瞬だが、何かここから先は聞いてはいけないような気がした。
少女はまた歩き始め、リョウタが追従する。
「リョウタはいい人だねっ」
「んー、そうだな」
いい人と言われて悪い気のする人間はいない。どっちかというとリョウタは褒められたいタイプだった。というよりも単純なので人の言葉で気持ちが左右されやすい…か、自分の半分以下の背丈の少女にこう言われただけで少しいい気になっていた・。
「リョウタは……人間さん?」
「え? そりゃ……人間だろ? そんなこと聞いて……」
ルーニァは違うのか、そう聞こうとして言葉を飲み込む。あの男達の怯えた目、化物と、竜だと叫び殺そうと武器を振り回しながら突っ込んできた……あれは尋常じゃあない。
「…いや」
そう、これは夢なのだ。多分この子がヒロイン的な重症を追った自分の見ている夢。
そうでなければありえないだろう。さっきの戦いでもそうだが、今ももう随分話しながら歩いている。大きな岩をよじ登ったり、自分の背丈ほどもある草を払いながら獣道を歩いている。会話をしながらこんなに自分が歩けるわけが無い。
「ところで、家があるってこんな山奥にか? ルーニァは耳が尖ってないけどエルフとかそんな感じ?」
「ううん、私は…」
再度ルーニァが足を止める。くるりとリョウタに向き直り、不安そうな声で一言。
「…リョウタは、私が竜って言っても怒らない? 追いかけたりしない?」
「んー…本当に竜って言われてもな。追いかけてどうすんだ?」
信じる信じないは別とする。これは自分が見ている夢と思い込んでいるからだ。そもそも、目の前の少女が竜というのも無理がある。尻尾も羽も無けりゃうろこも無いのだから。
だが、さっきから見ているとこのルーニァと言う少女はやけに力が強く身軽なようだ。邪魔な倒木を、太さそれほど無いとはいえ、はよっこらしょといった感じで持ち上げて潜ったり、自分の頭より高い場所に手をかけて簡単によじ登っていく。
「ルーニァが竜だとしても、なんであの人達は追いかけて来たんだ?」
「わかんないよ……」
「…そっか」
怖かったんだろう。大の男4人に馬まで使って追いかけられたのだ。急にシュンとしてしまった。
「あー……もうすぐつくのか?」
「うん…あ、あそこ!」
ルーニァが指を指す場所には茂みに人一人通れる穴が開いていた。ルーニァはそこに躊躇無く入っていく。
「家…ねぇ……おっ?」
続いて入って見ると、ただの茂みに見えたが、どういうことかはわからないが地下に向かって少し傾斜になって人が一人通れるトンネルが出来ている。
壁は岩だったり土だったり、木の根が見えていたりするがなぜか崩れるという不安感は一切無かった。
「おもしろ……って、あれっ」
リョウタが周りに見とれているとルーニァはいつの間にかいなくなってしまった。
一本道なのでそのまま足早に進んで見ると、すぐに開けた場所に出た。
周りを見ると、壁が木の肌で出来ている。木造の家ではない。まったく加工した痕跡が無い気が壁になっている。
信じられないことだが、リョウタは巨大な樹の中にいるのだと理解した。リョウタの目の前には巨大な白い岩が横たわり、真上を見上げると吹き抜けになっているらしく日差しが眩しい。
「…すげぇ……」
現実では絶対に見ることの出来ない風景、完全に呆けて見とれていた。同時に自分が予想以上にメルヘンチックな心の持ち主ということにも驚いていたが。
「おかあさんっ! ただいま!」
「ん? あ、ルーニァ」
見るとルーニァが岩に抱きついている。岩に見えたがこれは家か。こんなところに住みたい…そう思ったところでリョウタの思考は完全に停止する。
「う…そだろ……本当に…」
岩では無い。岩肌ではない。鱗がある。
「……竜、だって?」
「おかえりなさい、ルーニァ…無事でよかった。ありがとう、リョウタよ。貴方は思った通りの人でした」
今日、リョウタの価値観は180度変わる事になる。平凡な人生の終わりでもあり、非凡な人生の幕開けだった。