「大相撲名古屋場所千秋楽」(24日、愛知県体育館)
今場所後の大関昇進を逃した関脇琴奨菊が豊真将を寄り切って11勝目を挙げ、来場所に可能性をつないだ。関脇鶴竜も勝って先場所から12勝‐10勝とし、来場所で大関昇進に挑む。94年初場所後の武蔵丸、貴ノ浪以来となるダブル昇進も夢ではなくなった。14日目で優勝を決めた大関日馬富士は関脇稀勢の里に突き落とされ、全勝優勝を逃した。横綱白鵬は3敗目。また、今場所初めての満員御礼となった。
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名大関・魁皇の穴を埋める素材が、次々に名乗りを上げている。番付編成を担当する審判部の中村副部長(元関脇富士桜)が「琴奨菊も勝って(来場所に)残った。鶴竜は前半戦で星があがれば。ダブル昇進だな」と、両者とも挑戦権を持っていることを明言した。
取組前に昇進見送りが決まっていた琴奨菊は、悔しさを振り払うかのように敢闘賞の豊真将を攻めて寄り切った。支度部屋では開口一番、「やっと終わったあ。長かったあ」。来場所へ向けては「チャンスはそうそうないんで今場所があったからと言えるようにしたい」と巻き返しを誓った。
連敗後、知人から人気漫画「ドラゴンボール」に登場する神龍(シェンロン)のフィギュアをもらった。作品中のどんな願いもかなえるという能力にちなんで「願いがかなうから、あきらめるな」というメッセージが込められていた。白鵬戦の勝利で殊勲賞も受賞。来場所こそ夢をかなえる。
もう一人の候補、モンゴル出身の鶴竜は関脇では自身初の2ケタ白星をマークした。「そういうこと(大関)を意識せずいつも通りに」という謙虚な口ぶりとは正反対な、もろ差しからの速攻が武器だ。
来場所、琴奨菊は12勝、鶴竜は11勝が昇進の目安となる。観客動員の低迷に歯止めをかけるニューヒーロー誕生が待ち遠しい。
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