グランパスは前半6分という早い時間帯で失点したが、慌てることなく自分たちのプレーを貫いた。それが9分後の同点ゴールにつながった。しかもゴール前中央で、攻め上がっていた闘莉王と玉田がダイレクトのパス交換で相手を崩しての得点だけに意味が大きい。前後半ともシュートが11本ずつ。これまで以上に攻撃がフィニッシュまでつながった印象が強い。
それは同点ゴールで象徴されるように、相手ゴール前中央でパスをつなぐことにチャレンジし続けたからだ。昨年からグランパスの得点パターンといえば、サイドからのクロスとセットプレーが大半を占めるが、どのチームも警戒を強めてくる中で連覇を目指すには、上積みが必要になる。おそらくストイコビッチ監督はそう考え、ずっと中央での崩しを指示してきた。その意識がイレブンに浸透してきた。
警戒していたはずの速攻で先制されたり、前線から相手にプレスをかけているのにDFラインを上げきれなかったり、組織としての守備面では反省点も多かった。特に上位との対戦では、開始早々とはいえその1点で終わる試合もある。攻撃パターンが増えた上に、守備も昨年のしぶとさを取り戻せば、連覇という目標もグッと現実に近づくはずだ。 (愛知東邦大監督、元グランパスDF・藤川久孝)
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