ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


平成の「悪党」はこう作られた

日本を立て直す

小幡績/アゴラ

小幡績 プロフィール

戦後は異なる。もう負けた後だ。外敵脅威はない。内的復興だけが目標だった。だから、それは得意だった。そして国家はいらなかった。一部のトップに任せておけばよかった。ほとんど選択肢はなく、東西冷戦の中で無難に内的復興に集中できる体制を作ればよかったから。

したがって、欧米の国家とは日本の国家は異なる。例外的に成立していた国家も違う国家だ。なぜなら、欧米の国家は守りでなく、攻めだ。隣の国を倒すための動員メカニズムとしての国家だ。

日本は守るための国家だ。だから覇権争いなどできるわけもないし、誰も望んでいない。企業も同じだ。覇権をアップルに取られても問題ない。覇権など取る気がないからだ。日本市場が守られればそれでいいのだ。守れなくなってくると、ちょっと困る。
それが企業にとっては、自分の組織を守ることだ。右上がりを前提とした組織は、成長しないと困る。だから、日本市場を守るのも重要だが、縮小する日本経済では足りないから、世界市場にも出ないといけない。ただし、世界一になる必要はない。成長市場で売り上げが上がって、自己の組織が右上がりになればいいだけのことだ。

こういう国だから、欧米流の覇権を握るということが最終目標になっているリーダーシップが日本にないのは当然だ。日本でリーダーといえば、職場のチームリーダーで、コミュニティを引っ張っていける人だ。ヴィジョンなんているはずがない。そんなたいそうなものを振り回されたら困る。

このような前提で、国家、政治、リーダー、政党、政策を考える必要がある。

それはトップダウンアプローチではありえない。いわゆるリーダーシップでなく、ヴィジョンでもない。それらを欲求することはむしろ日本を混乱させるだけだ。

しかし、ボトムアップでは足りない。上から目線は嫌われるし、下に媚びるのも間違いだ。だから、支持率だけを気にする、国民の声をよく聞いて決める政党は全くだめなのだ。

横から目線だ。同じ目線で、キャッチボールをする。親分と子分。チームリーダーとメンバー。そのキャッチボールが日本の政治だ。

田中角栄は、ヴィジョンではないし、国家リーダーではない。絶大なるチームリーダーだった。小泉はちょっと変わった親分だった。そういう人が好かれる。そういうスタイルをとるしかないだ。

新しい日本の政治の形は、もっと自然に生まれてくるように、我々がこれから立て直し、育てなければいけないのだ。

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