横浜の身売り騒動で、株式会社横浜スタジアムの鶴岡博社長(70)が怒り心頭だ。巨人・渡辺恒雄球団会長(84)に、「横浜球場(スタジアム)は株主ががめついんだよ。広告料も使用料も全部持っていっちゃう。(本拠地球場を)変えれば、球団運営ができると思う」と言われたためだ。
球団関係者によると、球場内の広告収入および物販収入は基本的にすべて横浜スタジアムが得る。さらに球団は入場料収入の25%を使用料として支払ってもいる。TBS関係者の間では、この“不平等条約”のような契約が球団経営を圧迫していると不満の声が強い。
しかし、鶴岡社長は1日、夕刊フジの電話取材に「(渡辺会長には)ちゃんと調べてから言っていただきたい。われわれは球団へ年間3億円の助成金を供出している。また球場使用料も、最初は入場料収入の30%と定められていたが、いまは25%に引き下げている」とぶ然。
さらに「チーム成績が良かったころの入場料収入は年間50億円に上ったが、最近は30億円程度で、われわれの使用料収入は7億5000万円。今季に至っては30億円に届かず、使用料は6億円台に落ち込むとみられています。もうかっているように言われるのは心外です。球団内にも『家賃が高すぎる』という人はいるが、球団にも観客動員増のためチームを強化し努力してもらわないと」と訴えた。
球団経営の責任者、加地隆雄球団社長(69)も当惑している。この日の会見では、「仮に株主が変わろうとも、私が社長である限り、本拠地33年目を迎える横浜のために頑張るスタンスは変えない」と、まず新潟本拠地移転説に不快感を示した。
しかし、今回の身売り交渉は親会社のTBSが水面下で進めているもの。昨年10月に電通から招かれて就任したばかりの加地社長はカヤの外に置かれているもようだ。
「一応、(TBSサイドに身売りの可能性を)聞きましたが『答えられない』と言われました。私は“雇われ社長”。責任を問われれば辞めなければならない立場です」と思わず本音も漏らした。横浜の選手の間にも新潟行きには不安感が広がっている。「新潟には広島への直行便がなく、名古屋への便も少ない。陸路も新幹線を乗り継いで時間がかかる。そこが本拠地だったり何十試合もやったりして体が持つのだろうか」(横浜某主力選手)。まだまだ一波乱もふた波乱もありそうな身売り騒動だ。 (宮脇広久)