白鵬Ｖ８ならず「重圧あった」…名古屋場所１４日目

　◆大相撲名古屋場所１４日目　○日馬富士（寄り切り）白鵬●（２３日・愛知県体育館）　大関・日馬富士が横綱・白鵬の８連覇を阻止し、１２場所ぶり２度目の優勝を決めた。１敗で追う横綱・白鵬との大一番を寄り切りで制し、１４連勝。千秋楽を待たずに０９年夏以来の賜杯を手中にした。

　白鵬は東支度部屋にうつむきながら戻ってきた。昨年の初場所以来、他人の手に優勝賜杯が渡る。「強いものが抱くわけだから、悔いはない」。８連覇達成もならず「これが自分の力」と言った。

　負ければ優勝を逃す一番。「狙いは左右のどちらかでもまわしをつかみたかった。でも最後だけしかかからなかった」。右下手を引いても、相手に腕を殺されて、窮屈な形。攻めることはできなかった。「今場所は調子が良いっていうことじゃないですか」と日馬富士の力を認めた。

　朝青龍引退後、昨年春場所から１人横綱になった。先場所まで７連覇。横綱の責任を果たしてきた。相撲だけではない。角界の代表として、東日本大震災の被災地を元気づけることに奔走した。場所前の６月４日からは協会の東北慰問巡回を行った。同１７日、１８日には宮城県内で宮城野部屋単独で炊き出しもした。宮城野親方（元幕内・竹葉山）は「色々あって、稽古もできなかった」と話した。

　優勝しなければならない宿命。「プレッシャー？　人間だからね。あったよ。今回の負けをバネにまた精進したい」。白鵬は前を向き誓った。