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07月23日

連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤が逮捕された。‐1989年(平成元年)‐

 1988年から89年にかけて東京都と埼玉県で、幼女ばかりを対象にした殺人事件が起きた。欧米で多発する事件を連想させるこの特異な事件は、様々な問題を投げかけた。

 犯人の宮崎勤の自宅の部屋から5000本以上のビデオテープが発見された。大半はアニメ漫画だったが、ホラー映画やいかがわしいビデオもあった。このため、サブカルシーンで使われていた「おたく」という言葉を世に広めることになった。「おたく」という概念はこれ以降、様々な形で使われるようになり、すっかり一般名詞となった。現在の秋葉系のルーツをたどると、ここに行き着く。

 また、メディアスクラムという言葉が広がったのもこの事件からである。犯行声明を新聞社に送り付けたり、被害者の遺骨を遺族に送りつけるなどの手口が注目を集め、ワイドショーから雑誌まで様々なメディアが事件を報じた。その中には偏向した内容も含まれていたが、犯人の父親が自殺したため、報道のあり方をめぐって議論が交わされることになった。

 宮崎が逮捕されたのは、最初の事件を起こした88年8月22日から約1年たってから。別のわいせつ事件を起こしているところを被害者の父親に取り押さえられ、現行犯で逮捕された。捜査当局は部屋にあったビデオの分析から、起訴に踏み切った。

 97年4月、東京地裁で死刑判決が下り、2006年1月に最高裁で上告が棄却され、死刑が確定した。死刑が執行されたのは08年6月17日。宮崎の口から謝罪や反省の念が語られることはなかった。(昭) =敬称・呼称略=

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