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<米国の債務上限>引き上げめぐり与野党協議が迷走

毎日新聞 7月23日(土)22時18分配信

<米国の債務上限>引き上げめぐり与野党協議が迷走
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米連邦債務残高と債務上限の推移※債務残高は会計年度(10月〜翌9月)。債務上限は年度途中に変更される場合がある
 【ワシントン斉藤信宏】米連邦政府が抱える累積債務の法定上限14.3兆ドル(約1130兆円)の引き上げをめぐり、米議会の与野党協議が迷走を続けている。上限引き上げの期限とされる8月2日が迫る中、22日にはオバマ米大統領と野党共和党のベイナー下院議長が3兆ドル(約235兆円)の財政赤字削減策について水面下で協議したが決裂した。オバマ大統領は、23日も協議を続けるが、事態打開の道筋は見えない。交渉がまとまらない最悪の場合、米国債が債務不履行(デフォルト)に陥る可能性もあり、金融市場では次第に緊張が高まっている。

 ◇「茶会」支援の共和党議員、増税に反対

 「なぜベイナー議長が財政赤字削減の協議を放棄したのか理解できない」。22日夕、オバマ大統領は共和党との協議が物別れに終わったと発表。ベイナー議長も「大統領は最初から増税ありきの姿勢で話し合いにならない」とオバマ大統領を批判し、与野党の溝が依然として深いことが示された。

 米政府債務は、イラクやアフガニスタンでの戦費がかさみ始めた00年代半ばから急速に膨らみ、リーマン・ショック後の09会計年度(08年10月〜09年9月)には初めて10兆ドルを突破。今年9月までの11年度には15兆ドル超えがほぼ確実になっている。特にオバマ大統領就任後は、不況に伴う税収不足と大規模な景気対策による歳出増などで、毎年1兆ドルを超える財政赤字を計上し、共和党は再三、オバマ政権の姿勢を問題視してきた。

 債務上限を引き上げるには、中長期的に財政赤字をどう減らすかをセットで示す必要がある。このため、政府と与党民主党は増税策を示しているが、共和党の反発は強い。とりわけ強硬なのは、昨年の米議会中間選挙で保守系草の根運動「ティーパーティー(茶会運動)」の支援を受けて当選した共和党議員だ。総勢87人の1年生議員が「断固増税反対」の姿勢を崩しておらず、民主党だけでなく、共和党幹部も対応に苦慮している。

 民主党議員からは「彼らが何を求めているのか全く理解できない」(カーディン上院議員)といった声すら漏れる。

 極端な歳出削減を通じた小さな政府の実現を目指すティーパーティーは「財政赤字を膨らませた」とオバマ政権を厳しく批判。昨年の中間選挙で共和党の大勝に貢献した。今も米国民の間には財政赤字拡大への不満が根強くあり、「政府債務の上限引き上げは、オバマ政権の野放図な歳出拡大を助長することになる」(カンター共和党下院院内総務)との指摘に賛同する声は少なくない。

 ◇市場の不安高まる

 米議会の迷走ぶりに、市場の不安は増している。市場関係者の間では、米下院が08年のリーマン・ショック直後に、金融機関への税金投入を可能にする金融安定化法案を否決し、ニューヨーク市場での株価暴落を招いた記憶が悪夢として残っている。米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は「政府債務の上限引き上げ失敗で、米国債がデフォルトに陥った場合、金融市場は08年の金融危機のような混乱状態になる可能性がある」と繰り返し警告。「債務上限の引き上げを巡る議会の機能不全は米国経済に暗い影を落としている」(IHSグローバル・インサイト、ベラベシュ氏)と米景気への悪影響を懸念する声も強まっている。

 こうした状況を受けて、米財務省も混乱回避に向けた方策の検討に入った。22日にはガイトナー財務長官がバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁らと会談。債務上限の引き上げが実現しなかった際の米国経済への影響などについて意見を交わした。

 ガイトナー長官らは会談後に発表した声明で「議会が間もなく債務上限を引き上げると確信している」と期待を表明。与野党に改めて妥協を促したが、その一方で、デフォルトを避けるための手だてが残されていないかについても検討を急いでいる模様だ。

 与野党とも、市場に大きな影響を与えるデフォルトは回避したいとの意向は一致している。

 オバマ大統領が22日、「最低でも法定債務上限は引き上げなくてはならない」と述べたこともあって、関係者の間では「財政赤字削減策はとりあえず棚上げして、緊急避難的に上限引き上げだけで与野党が合意し、デフォルトを回避する」との観測もある。

 ◇米政府の債務上限問題

 米国では、財政赤字の拡大に歯止めをかけるため、連邦政府の総債務残高の上限が決められている。上限を引き上げるには、政府が法案を提出し、上下両院での可決が必要だ。1962年以降、74回引き上げられた。現在の上限は10年2月に決まった14兆2940億ドルで、既に達したとされる。

 8月2日までに上限が引き上げられなければ、新たな国債を発行できなくなるため、国債償還などに必要な資金を賄えなくなり、債務不履行(デフォルト)に陥る恐れが極めて高くなる。

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最終更新:7月23日(土)23時36分

毎日新聞

 

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