連載編集長ブログ―安田英久
虫眼鏡SEOのスパム業者が「Yahoo!八分」になった

安田英久(Web担 編集長) 2010/12/15(水) 21:46 (107)この記事をはてなブックマークに追加(31) 印刷用印刷用
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ヤフーは、「関連検索ワードスパム」への取り締まりを強化し、Yahoo!検索の検索結果から、同社の関連検索ワードを悪用したスパム業者を排除したようだ。ヤフーの対策として納得できるのだが、グーグルでは表示されている検索結果の一部がヤフーでは消えるという処理にも注目だ。

ヤフーが「虫眼鏡“SEO”」「関連検索ワード“SEO”」に明確にダメだし

Yahoo!検索における、関連検索ワードに任意の検索フレーズを表示させる「関連検索ワードSEO」(「虫眼鏡SEO」などとも呼ばれる)と称したサービスを販売する業者が増えていた。読者のみなさんのところにも、SEO業者などから関連検索ワードを操作するという売り込みが多くなっていたのではないだろうか。

しかし、こうしたサービスは、ヤフーにとってはスパム行為(参考:関連検索ワードの削除・操作とは?)。ヤフーはそうした行為の取り締まりを強化してきた。

これまでも、Yahoo!検索 ヘルプの「『関連検索ワード』とは」のページで、

本機能を、SEOやいやがらせ等の目的で利用する行為は禁止しています。そのような行為を発見した際には、なんらかの措置をとる場合があります。

と記載していたが、そこに

また、被害が発生した場合には、刑事・民事での法的責任を追求することがあります。

という文章が追加されていた。

その後、Yahoo!検索 スタッフブログに「Yahoo!検索の品質向上に対する取り組み」という記事が公開された。記事では、

  • 虫眼鏡検索スパムや入力補助スパムは、スパム行為である。
  • 「認められた行為で許諾を得ている」と主張する業者がいるが、Yahoo! JAPANとして、関連検索ワードやキーワード入力補助の操作を業者に許諾することはない。
  • 発見した場合は、スパム行為を行っている業者に措置を検討する。
  • さらに、業者に依頼した企業に対しても措置を検討する場合がある。
  • そうした業者から売り込みがあった場合は、ヤフーに報告してほしい。

といったことを明確に打ち出している。

私も、Web担当者の方とこの関連検索スパムの話をするたびに「え? あれダメだったんですか?」と驚かれていたので、こうした行為を禁止していることを公式ブログで明確にしてくれたことは、非常にありがたい。

スパム業者のページがヤフーの検索結果から消える
(グーグルでは残っている)

そして、ブログ記事で書かれていたように「措置」が行われ、こうしたスパムSEOを行っていた業者が、Yahoo!検索でヒットしなくなっているのだ。

インデックス削除に関しては、Web担でもおなじみ渡辺氏がSEMリサーチで「ヤフー、「虫眼鏡SEO」業者に制裁措置、インデックスから削除」の記事で詳しく書かれているのでそちらを参照いただきたいが、「虫眼鏡SEO」や「関連検索ワード」といった検索ワードで検索すると、グーグルでは表示される一部のページ(スパム業者のページ)が、ヤフー検索では表示されなくなっていることが興味深い。次の2つの検索結果ページを見比べてみてほしい。

ヤフーの検索結果ではスパム業者のページが表示されておらず、1ページに表示されている検索結果数が少ないことから、グーグルから受け取った検索結果を加工して表示していることが推測される
グーグルの検索結果ではスパム業者のページが表示されている

ヤフーとグーグルの提携により、Yahoo!検索のシステムは、すでにグーグルに切り替わっていると言われているが、「検索結果に対するヤフー独自の変更」として、特定のサイト(ページ)を表示しないようにする、いわば「ヤフー八分」が可能であり、実際にそうされることがわかったことは興味深い。

また、検索結果に表示されるリスティング広告をみても、こうしたスパム商品の広告が消えているように見える。

以前に「月間億単位の広告をチェック、リスティング広告のスパムや不正クリックと戦うYahoo! JAPANの裏側」の記事で、検索結果の品質を保ち、ユーザーに良い検索結果を提供するヤフーの姿勢を、クオリティセンターの情報とともにお伝えした。その後もリスティング広告・オーガニック検索ともに検索結果ページの品質を保つアクションを継続していることがわかって心強い。

また、ヤフーとグーグルの提携に関して、日本の検索インフラが同一のシステムによって提供されることに対する懸念があげられていたが(公取委の判断では改めてOKが出されていた)、ヤフーがこうして独自の変更を加えることが明らかになったことで、業界内外に安心感をもたらしたのではないかと思われる。

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