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 乳牛の飼料はなんですか?

 乳牛の飼料には、牧草などの粗飼料と、栄養を計算して配合する濃厚飼料などがあります。飼料は牛の発育、健康に影響を与え、さらに牛乳の栄養分や風味にも関わるので、とても大切なものです。乳牛の健康な生活のための基本となるのが、粗飼料です。粗飼料には次のようなものがあります。

●牧草
 イネ科の牧草・イタリアングラス、オーチャードグラスなど
●その他
 ソルガム、エンバク、稲わら、麦わらなど
 牧草は、放牧によって生草として食べさせるほか、冬は乾草としても与えられます。乾草にするのは貯蔵のためはもちろん、水分が減った分だけ、ビタミンやミネラルの含有率が高まるという利点もあります。牛の健康のためにさまざまな効果があるといわれています。

●乾草の特長
 1.牛の唾液分泌を促進
 2.飼料に含まれる繊維質の分解を助ける
 3.軟便を防ぐ
 4.子牛の第一胃の発達を助ける
 5.乳脂肪の減少を防ぐ

 乳牛は牧草が大好きです。牧草は栄養価値も高く、生産コスト、環境保全といった観点からも牧草はすすめられています。このほかにサイレージも与えます。サイレージとはサイロで貯蔵し、発酵させた粗飼料です。なかでもとうもろこしは糖分が多いので乳酸菌発酵が早く、良質なサイレージになり、牛も良く食べます。牧草やエンバクなどもサイレージにして貯蔵し、冬の大切な飼料となります。粗飼料は、繊維質、ビタミン、ミネラルが多く含まれるため、乳牛の反すうを活発にし、乳質も高めます。とくに、牛乳の脂肪分の含有量に影響を与えるといわれています。
 粗飼料と組み合わせて与えられる濃厚飼料は、たんぱく質、炭水化物、脂肪などの栄養素がたっぷりと含まれています。いろいろな種類の単味飼料を、バランスよくミックスした配合飼料にして、牧草では摂れない栄養素を補います。

●穀類
 とうもろこし、コウリャン、大麦
●糟糠類
 ふすま、コーングルテンフィード(とうもろこしのでんぷんを除いたもの)、米ぬか
●動物質飼料
 脱脂粉乳、ホエーパウダー(乳清を粉末にしたもの)、魚粉など
●油粕類
 大豆油粕、なたね油かす、綿実油かす
●その他
 アルファルファミール(牧草のアルファルファを乾燥させて固形にしたもの)

 濃厚飼料は牛乳の無脂乳固形分(たんぱく質など)に与える影響が大きく、配合のバランスによって乳質はずっと良くなります。そのバランスは、乳牛の年齢、体重、分泌する乳量、健康状態などを細かく配慮して、綿密に計算して決められます。
 飼料は、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」によって、厳しく規制されています。この法律で、搾乳中の牛に給与する飼料に抗生物質を添加することは禁止されています。