東日本大震災で発生したがれきの処理を全国の自治体で進めるため、環境省が岩手、宮城両県に対し、がれきの放射能濃度を測るよう要請していたことがわかった。がれきを受け入れる自治体側の住民の不安を払拭(ふっしょく)する必要があると判断した。
福島県のがれきについて環境省は、放射能濃度が高い可能性があるとして、県内で処理を進める方針をすでに示している。宮城、岩手両県については当初、「空間の放射線量が低く、がれきは安全」とみて、県外の自治体に協力を得て、そのまま処理を進める予定だった。同省の要請に、42都道府県と計572の市町村・一部事務組合ががれきの受け入れを申し出た。
ただ、受け入れ側自治体の一部で、住民が反発。川崎市では4月に受け入れを表明して以降、住民らから「放射能汚染が不安なので受け入れないで」などの電話やメール約6千件が殺到。東京都や京都市などほかの自治体でも同様の事態が相次ぎ、県外での受け入れは始まっていない。
これを受け同省は、がれきの放射能濃度を実際に測り、受け入れ側の住民に理解を求める方針に転換。岩手県は沿岸地域でがれきの測定をすでに始めており、早ければ今月末にも結果が出る。濃度が低ければ、今秋にも東京都で処理を始められるよう調整している。