(cache) ノルウェー爆弾・銃乱射テロで92人死亡、戦後最悪の事件に - WSJ日本版 - jp.WSJ.com
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ノルウェー爆弾・銃乱射テロで92人死亡、戦後最悪の事件に


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 【オスロ】ノルウェーの首都オスロと郊外のウートオイヤ島で起きた連続テロ事件で、警察は32歳のノルウェー人の男を訴追した。犠牲者は合わせて少なくとも92人に上っており、ノルウェー国内で第2次世界大戦以降最悪の事件となった。

顔写真 Agence France-Presse/Getty Images

メディアが報じた容疑者のフェイスブックの顔写真

 訴追されたのは、ノルウェー人でオスロ在住の男。報道によると、男の名前はアンネシュ・ブレイビクで、金髪で青い目をしているという。警察は男の名前を明らかにしていないが、容疑者が会員制交流サイト「フェイスブック」に自分について、極右のキリスト教徒で反イスラム教的な考えを持っており、農園を経営していると書き込んだという報道を認めている。報道によると、容疑者は2つの武器を自分の名前で登録、所持していた。ノルウェーの法律によると、テロ行為には最高で21年の禁固刑が科せられる。

 警察によると、犠牲者のうち85人は22日夕方に発生したウートオイヤ島での銃乱射事件で死亡した。島では与党労働党の青年部がサマー・キャンプを行なっており、事件発生時には約600人が島に滞在していた。死亡者の多くは10代の若者。また、この数時間前にオスロ中心部の官庁街で起きた爆発事件では、少なくとも7人が死亡した。

 オスロ警察の広報担当者Sveinung Sponheim氏によると、容疑者はオスロの中心部で自動車爆弾を爆発させたあと、車でウートオイヤ島に向かい、警官隊が駆け付けるまで1時間以上にわたって拳銃1丁と自動小銃1丁を人々に向けて無差別に発射したという。目撃者によると、複数の人間が犯行に関わった可能性があるが、警察はまだ捜査を続けている。

 警察によると、容疑者は事件後、直ちに投降し、尋問に応じているという。取り調べは数日間続く見通し。警察は事件の背景に政治的な動機があるかについては明らかにしていない。容疑者には既に弁護人が任命された。

 事件が最初に通報されたのは現地時間22日の午後3時26分、オスロ中心部で爆発が起きたというものだった。その後、ウートオイヤ島での乱射事件が通報されたのが午後5時38分、警察が島に渡るために本土の埠頭に到着したのがそれから40分後で、容疑者が逮捕されたのはそこからさらに50分後のことだった。

 目撃者がノルウェー国営のNRKラジオに語ったところによると、容疑者は警察官の服装をしており、現場にいた若者を集合させてから銃を発射、多くの人が海に飛び込み泳いで逃げようとしたという。

 オスロ警察の警部はノルウェー日刊紙VGに対し、警察は島で銃を発射した人間がもう一人いる可能性を捜査していることを明らかにした。報道によると、目撃者は警察官の制服を着ていない男も銃を発射したと話している。

 スカンジナビア地方では過去に、社会民主主義を支持する政治家が狙われる事件が発生している。2003年にはスウェーデンのアンナ・リンド外相が首都ストックホルムの中心部で刺殺される事件が発生した。1986年にはスウェーデンのオロフ・パルメ首相が銃で暗殺された。

 また、スカンジナビア地方では近年、イスラム過激派による事件も発生している。2010年12月には、スウェーデンの首都ストックホルムの繁華街で自爆テロが発生、犯人が死亡した。9月には、7月にオスロとドイツのデュイスブルクで逮捕された3人の男のうちのクルド系イラク人の男が攻撃を計画していたことを告白した。標的はイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載したことで知られるデンマークの新聞ユランズ・ポステンとみられている。

 ノルウェーのテレビ局は22日、「世界の聖戦の支援者(Helpers of the Global Jihad)」と名乗るグループが「これは始まりでしかない」と述べたと報道したが、このグループが今回の連続テロを行なったかははっきりしないとしている。

 情報分析会社のStratfor Global Intelligensは、連続テロ事件の影響が欧州各国に広がるかどうかは、誰が犯行に関与したかによるとの見方を示した。

 Stratfor Global Intelligensによると、今回の事件が個人の犯行であれば、ノルウェー国内で治安体制の見直しがされる以上の影響はほとんどないとみられるが、極右やネオナチの傾向のある人物やグループが事件に関与していた場合、欧州全体で極右への支持は一時的に減少する可能性があるという。一方で、長期的な影響はなさそうだと指摘している。

 ノルウェー警察は今年3月の報告書の中で、右派過激派の集団が活動を活発化させていると警告したが、右派過激派のグループや個人はノルウェー社会に対する大きな脅威とはなっていないと結論づけていた。

 オスロでは、爆発事件の影響で首相ら政府のトップのオフィスが入居する高層ビルの窓が吹き飛んだり省庁のオフィスが破壊されるなどの被害が出ているが、ノルウェーのストールベルゲ法務相は政府の機能は損なわれていないと述べた。

 連続テロから一夜明けた23日、軍が人通りの少ないオスロの通りのパトロールを行なった。オスロでは官庁街に続く道路はほとんど封鎖されているが、警察は市民への自宅待機の要請を解除した。

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