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酩酊三十三カ所~大人の遠足:八尾の札所 髭鯨(ひげくじら) /大阪

 ◇独特のくさみ、おいしい名物のクジラ

 近鉄八尾駅前で、新山ひろしさんが手招きする方を見れば、「ヘアーサロン・ウエノ」のネオン。その前に屋台が据えられ、のれんの下からお客さんの足がのぞいている。

 のれんをくぐれば、口ひげにセルロイドのめがねをかけた年齢不詳のマスター、上野尚登さんがニッコリ。謎が多いぞ。一つずつ解き明かしていこう。まず店の名前。クジラが名物だそうだが、ひげはなに? 辻本隆さんが「マスターがひげ生やしてるから?」。「皆さん、そう言わはるんですが、クジラは大きく分けて歯クジラとひげクジラの2種類あって、ひげの方が赤身はおいしいんです」。さらに「独特のくさみがある脂がおいしいです」などと魅力を語ること語ること。

 話はともかく、クジラをいただこう。ベーコン盛り合わせ(980円)はウネスというクジラの下のうねってるところと、そのスモーク、本皮という脂にサエズリ(舌)。歯ごたえがあり、かむとうまみが口の中に広がる。

 小学校の給食で竜田揚げを食べた世代に、クジラは懐かしい。新山さんが「クジラの思い出、語っていいですか?」と語り出す。「中2の時、母親が家出ていったんですよ。兄貴と2人になって、僕が料理係。市場でクジラのカツが10円で、安うてボリュームあって、毎日カツ買ってたなあ」

 さてマスター、なんでクジラの店を?と尋ねたら、「いじめられてるクジラを助けて(笑い)」。竜宮城か! 話が一つも前に進まん。ようよう聞き出したところによると、水産会社をやってる友人がクジラを扱っていて、「八尾でいろんな人が集まる酒場をやりたい」と思ってたクジラ好きのマスターが、なんやかやで始めて丸3年。

 元は、というか今も散髪屋さんをやってて、午後6時まではおっさんの髪を切り、7時半からは髪を切られたおっさんが飲みに来る。二つの商売の共通点て? 「いろんな人と会えることですね」と即答。目がぱっちりの奥さんの易功子(いくこ)さんは「お客さん、個性のきつい人ばっかり」と笑う。そんな常連さんに河内音頭の話を聞きながら、八尾の夜はにぎやかにふけてゆく。【松井宏員】

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 八尾市北本町2の4の3、近鉄八尾駅西出口のすぐ北。電話080・3865・5758。19時半ごろ~23時。第2、第3月・火曜休み。ビール中瓶450円、日本酒400円、焼酎380円。クジラ竜田揚げ・焼き肉・しょうが焼き480円、鶏のソテー300円、ポテトサラダ250円。

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 「酩酊八十八カ所」をまとめた「酩酊大阪八十八カ所 立ち飲み三銃士と行く」前・後編(各1470円)発売中。

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 お店で「お札下さい」と言うと、三銃士特製の千社札がもらえます。

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 ◇9月11日に「酩酊三十三カ所」読者のつどい

 ◇立ち飲み三銃士や高宮画伯と一献--参加者募集

 「酩酊三十三カ所 大人の遠足」の読者のつどいを9月11日(日)に催します。立ち飲み三銃士や高宮画伯と一献やりましょう。

 札所の立ち飲み店をお借りします。立ち飲み初心者も歓迎。飲食代は実費。未成年、酒癖の悪い方はお断り。

 参加希望者は、はがきに住所、氏名、年齢、電話番号を明記し、〒530-8251 (住所不要)毎日新聞社会部大阪版「酩酊つどい」係へ。28日(木)必着。応募多数の場合は抽選。当選者には案内状をお送りします。

毎日新聞 2011年7月23日 地方版

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