東日本大震災
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【社会】地デジ完全移行 東京タワー減収必至2011年7月24日 07時07分
関東地方一都六県のテレビ電波塔として長年活躍しながら、来年五月以降デジタル波送信塔の役割を東京スカイツリー(東京都墨田区)に明け渡す東京タワー(港区)。アナログ放送が二十四日に終了し、デジタル放送へ完全移行する中、「東京のシンボル」であるタワーの行く末に注目が集まりそうだ。(中山高志) 東京タワーは数年前から、地デジ完全移行を見据えて、デジタル波送信塔としての地位を守るべく各方面に働き掛けてきた。だが在京テレビ局六社はスカイツリー利用を決定。東京タワーは予備塔としての地位を確保するにとどまった。 東京タワーの二〇一〇年度の売上高は五十四億八千万円。内訳は展望台入場料など観光収入が二十九億円、不動産収入が二十五億八千万円。不動産収入はアンテナや送信室を借りるテレビ局やFM局からの賃貸料収入が八割を占めており、在京六社のスカイツリー移行によって減収は避けられない。 今後の経営戦略について東京タワーを運営する日本電波塔総務課は「経費節減と観光業に重きを置く」とするが、観光面でスカイツリーに客が流れることも想定される。 東京タワーの展望台の入場者数は一九八九年度の三百八十万人をピークに減少し一時は二百万人台に。背景に「地方の団体客しか行かない観光名所」とのマイナスイメージもあった。 同社は〇二年度から施設のリニューアルや、地方物産展の誘致やライブの開催などソフト面の充実に力を入れ、「観光客だけでなく、首都圏の人たちが遊びに来る場所」へとイメージチェンジを図ってきた。 改善策が効果を生み、〇六年度に三百万人台を回復して今に至る。同社企画部の沢田健さん(39)は「テレビ電波発信の役割が縮小されても、各種イベントなど情報発信のアンテナとしてもやっていく」と前を向く。 ◇ 総務省によると、現在のテレビ電波送信所は、関東、東海、近畿などを除き、原則として各都道府県に一カ所ずつある。しかし、東京タワーのように市街地にあるのは、名古屋テレビ塔(名古屋市)と福岡タワー(福岡市)ぐらい。愛知、岐阜、三重の三県をエリアとする名古屋テレビ塔は、電波塔の役割が瀬戸デジタルタワー(愛知県瀬戸市)に移るため、存続が危ぶまれている。福岡タワーは今後も送信所の役割を担う。 (東京新聞) PR情報
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