<「地デジ7チャンてれとの日」について>
去年、デジタルチャンネル番号「7」が並ぶ7月7日を「地デジ7チャン てれとの日」とし、キッザニア東京(江東区豊洲)に子どもたちを招いて、イベントを行いました。
今年は、キッザニア東京や協賛企業の皆さんの好意で、7月7日(木)・8日(金)の2日間、お借りすることができたため、2日間に渡って人気キャラクターとの触れ合いなどを、楽しんでいただこうと思います。キッザニア東京には『ピラメキーノ』を模したアクティビティがありますので、イベントの模様は『ピラメキーノ』などの番組でも、生中継する予定です。
子どもたちに愛されるテレビ局というのが我々の目標のひとつですから、この機会にたくさんの子どもたちに来てもらい、元気を出してもらいたいと思っています。6月に入ってから、招待者の公募をする予定です。
<編成関連>
4月クールから反転攻勢を目指しているところですが、依然として苦しい状態が続き、第7週終了時(4月4日~5月22日)で、GH5.5%(前年比-0.6ポイント)、PT5.2%(同-0.6ポイント)、全日2.5%(同-0.3ポイント)です。震災が期首の番組編成に影響したこともありますが、旅・グルメ番組がこういう時期になかなか期待通りの数字を挙げられません。また、新番組もまだ力不足の面があり、7週連続でGH6%を下回りました。
番組力・コンテンツ力を高めるというのが、今のテレビ東京の至上命題です。デジタル化の時代を迎え、3年計画でまずGH8%台へ戻そうとしています。
我々がこれまで主たるターゲットとしてきたM3・F3が、BS波に相当流れています。BS波が見やすくなったこともあるでしょうが、きちんと分析をし、まず、基本となる土台を固めたいと考えています。番組編成、あるいは番組そのものを見直し、10月に向けて、もう一汗、二汗、掻いていきたい。新年度の売り上げ見通しは厳しいものがありますが、番組制作費はむしろ増やし、コンテンツ力をつけていきたいと思っています。
5月15日(日)には、ビン・ラディン殺害を扱った池上彰さんの緊急スペシャルを放送することができました。こういう番組が、期待通りの成果を挙げた(視聴率11.7%)ことは、テレビ東京を支持してくれる視聴者に、このような番組が期待されているという、ひとつの表れだろうと思います。バラエティにしても、ドラマにしても、そういうことを考えながら、改めて内容の点検をしていきたいと思っています。
明るいニュースは、5月9日~15日に放送した「世界卓球2011」の混合ダブルスで、岸川聖也・福原愛組が、この種目で日本に34年ぶりの銅メダルをもたらしたことです。視聴率はもう少し期待していましたが(PT帯平均視聴率5.8%)、相対的には頑張ってくれたと思っていますし、視聴者も「卓球の面白さを堪能できた」と好意的な反応を寄せてくれています。また、開催期間中に「世界卓球2014」の東京開催決定という嬉しいニュースが入ってきました。軌を一にして、我々テレビ東京も2016年までの放映権を獲得しました。2014年はテレビ東京にとって、開局50周年の記念すべき年でもありますので、全力を挙げ、この世界卓球を盛り上げていきたいと思います。女子では、石川佳純選手と福原愛選手が、また、男子では水谷隼選手と岸川聖也選手のロンドン五輪出場が決まり、一緒に卓球を盛り上げたいと思っているところです。
Q.震災以降、視聴傾向に変化は見られるか
A.テレビ東京が主たる対象にしているM3・F3のニュース志向が、全体的に強まっているのではないでしょうか。視聴者がニュース番組に流れている傾向は相当あると思います。
当社では、池上彰さんの番組や『ガイアの夜明け』が支持を得ています。一方で、視聴者はまだそういう気分ではなかったのか、4月は旅番組が奮いませんでした。
バラエティでも内容が極端なものは、なかなか今、受け入れられません。時代の空気を読んだ番組を作りこまなければならないと思います。私個人としては、番組を見直す、いい機会でもあったと思っています。路線はそう簡単に変えるつもりはありませんので、今、視聴者が求めているもの、マッチしたものをどう作っていくか、これを是非、現場に考えてほしいと思っているところです。
Q.月曜22時のドラマが苦戦しているようだが
A.この枠の連続ドラマは、第1弾『モリのアサガオ』から、皆さんに高い評価をいただきました。我々も、問題提起の意味を込めて放送したつもりでしたが、このシリーズの特徴として、相当ストレートなんですよね。第2弾『最上の命医』についても、今日的で、皆さんに考えてもらいたいテーマを扱ったんですが、一般の支持を得ることとは少し違ったようです。
個人的には、改めてその点を考え直す必要があると思っています。特に、我々にとって一番の足場にしているM3・F3の皆さんにとっては、一般的になかなか受け入れられるドラマになっていないのかもしれません。
いい作品でも、やはり多く広く見られないといけない。そのための工夫をどうするかということ。直線的に問題提起していくという意味では、テレビ東京らしいドラマの作り方ではありますが、広く見ていただいた上で、評価をいただかなければ長続きしません。作品を見ていただいた方からは、非常に温かい言葉をいただいているのですが、その広がりがないというのは、我々に問題があるのかもしれません。
(7月クールの新ドラマ『IS』については)難しいテーマですが、そこに光を当てるという点では、いいと思います。いかにそれを、皆さんに見てもらうか。見てもらわないと、問題提起の意味がなくなります。是非、そのための工夫をして、盛り上げたいと思います。
Q.視聴習慣については
A.視聴習慣は、一度離れると、なかなかつきにくいところがあります。今、金曜日が苦戦しているのは、『ペット大集合!ポチたま』や時代劇で培ってきた視聴者を、一旦離してしまったため。呼び戻すのにはなかなか苦労がいりますが、辛抱しながら呼び戻す努力を続けます。もちろん、内容のテコ入れをしたり、中味の濃い番組にする努力は必要ですが、粘り強くやってみることも必要だと思っています。
Q.『隅田川花火大会』の開催が決まったが
A.8月27日(土)の開催が決定し、我々も放送することを決めました。是非、放送したいと思っていましたので、ありがたい決定だと思っています。
この大会は、もともと享保の大飢饉とコレラの死者を弔うために始まった花火大会だそうです。実行委員会も、今年は東日本大震災の鎮魂のためにと意識されて、開催を決めたとうかがっています。我々も、じっくり見てもらう、趣旨に合った番組作りをしていかなくてはと思います。
<東北応援シリーズの放送について>
6月~7月にかけ、『いい旅・夢気分』を4回連続で東北応援シリーズとして、また、6月18日放送の『土曜スペシャル』を「がんばれ東北!有名観光地へ行こう!」というテーマで放送します。今、必死に復旧、復興の努力をしている東北地方の観光地を紹介し、行きたい、という番組になれば成功です。東北地方の観光施設で苦闘している方々を応援したいと思っています。
Q.東北応援シリーズは、番組制作のバランスが難しいのでは
A.難しいと思います。あまり押し付けがましい内容もだめですし、毎日苦闘している方たちが、それどころじゃない、と感じる内容でもだめです。
一方で、こういう時だからこそ、みんなで元気を出そう、と思っていらっしゃる方もたくさんいる。それらを全体として、どう捉えるかということです。番組作りは難しいだろうと思いますが、それに敢えて挑戦するのですから、うまく行くことを願っています。
<『夏祭りにっぽんの歌』のリニューアルについて>
41年間、親しまれてきた『夏祭りにっぽんの歌』の番組タイトルを、今年から『プレミア音楽祭』に変更します。今年は、『プレミア音楽祭2011夏~頑張ろう!にっぽんの歌~』として、被災地だけではなく、歌によって日本全体の元気を取り戻す番組にしたいと思っています。
軸は従来と同じM3・F3ですが、土俵を広げ、近年少し構造変化している"新しいM3・F3"の視聴者にも喜んでもらえる音楽祭にしたい。それが、『プレミア音楽祭』へとタイトル変更した狙いです。司会者には、南こうせつさんに加わっていただきます。
Q. 看板番組のひとつである『夏祭りにっぽんの歌』の変更は、大きな決断では
A.50歳以上を一口にM3・F3と言っていますが、演歌は"M4・F4"くらいですよね。(50代の)M3・F3はフォーク世代ですから、そういう方々にも楽しんでもらいたいと思っています。
個人的に、夏の歌番組は、いろいろな実験をする番組でいいと思っています。タイトルを変えることで心機一転し、歌手の皆さんにもそう呼びかけることができると思います。
この10~20年間、ずっと番組を支持してくれたM3・F3は、今、60~70代です。かつての30~40代の人たち、つまり、新しくM3・F3を構成している世代にも受け入れられる番組を作らなければなりません。その点については、今、私を含めて、制作現場にいろいろな迷いがありますが、昔のままの番組では、なかなか視聴率も取れないと思います。
<決算・営業関連>
2011年度は、震災の影響により、上期だけで約18億円の減収を見込んでいます。下期については今年の2月に想定した仮置きの数字とし、ホールディングスとして年間5億円程度の赤字を見込みました。ただし、これは仮置きの予算ですので、第1四半期の数字がはっきりする頃には、上期全体、それから下期の見通しも出てくるでしょう。
上場企業ですので、これまでは、人件費、一般経費、そして番組制作費を削って、ギリギリ黒字にするということを優先して考えてきました。しかし、今年はデジタル元年、しかも我々は、このところ視聴率低下に伴う商品力が低下しています。このままでは、負のスパイラルに落ち入りかねないという危機感を持っています。そのため、株主の皆さん、ステークホルダーの皆さんには申し訳ありませんが、赤字予算で番組制作費を実質14億円のプラスにしました。我々にとっては、極めて重い決断だと思っています。この番組制作費を有効に使って、戦略的に明日へとつながる番組を作り、とにかく、GH7%台への視聴率回復をこの1年間で達成してもらいたいという願いを込めました。
4月は単体の営業実績で、タイムが前年同期比-6.1%、スポットは-15.3%、タイム・スポットの合計で-9.2%でした。スポットは、震災の影響によるキャンセルを受け入れたこともあります。サプライチェーンの復活が、どの程度早まるか。そのペースに合わせて動きが出てくれば、少し様相が変わるかもしれませんが、基調としては今のところ、タイムで5%、スポットで15%くらいの減少傾向です。
<映画『モテキ』について>
(島田昌幸 社長)
去年、『モテキ』というドラマを放送した際、つい社員たちに乗せられて、社内報でうっかり(自身のモテキについて)書いてしまいました。そんな思い入れのある作品『モテキ』の映画化が決まり、9月23日(金・祝)から公開することになりました。
去年も、このドラマをみんなで盛り上げようと、社内横断プロジェクトが誕生し、社内外のキャンペーンを行いました。今回の映画も、この秋期待している映画のひとつですので、新たに社内横断プロジェクトを組んで盛り上げていこう、ということになりました。
(井澤昌平 取締役)
ドラマ24『モテキ』は、2010年7月クールに放送した作品です。その後、『嬢王3』(10月クール)、『URAKARA』(2011年1月クール)、『マジすか学園2』(4月クール)と放送し、深夜でも非常にユニークな枠に育っていると自負しています。その枠から生まれた『モテキ』を映画化したいと、大根仁監督、そして、東宝にも話をして、映画化が決まりました。現在、撮影をしており、クランクアップは6月中旬予定。9月23日(金・祝)から公開です。
テレビ東京はGHのドラマが少ないこともあり、初めてドラマからの大規模公開映画ということになります。深夜で放送していたドラマは、30代の男性とTがコアでしたが、これを映画化するにあたって、F1・M1の層にアピールをし、デートムービーにしたいと思っています。今回、プロジェクトも若い人たちが中心になっています。この層に向けて、テレビ東京からどう発信できるか、考えていきたいです。
主演は、ドラマと同じ森山未來さん。映画オリジナルの豪華な女優陣も加わり、テレビ東京と東宝の共同幹事作品として、プロデューサーは『告白』などを手掛けた川村元気プロデューサーが務めています。非常に強力なパートナーがつきましたので、是非、秋にヒットさせ、他局と違うドラマの映画化を、成功させたいと思っています。
<事業関連>
(井澤昌平 取締役)
5月14日(土)から『ジュリエットからの手紙』の公開が始まりました。単館系の作品として30館規模でスタートしましたが、順調です。5月22日現在の興行収入は3,610万円で、「ぴあ満足度ランキング」でも1位という評価をいただいています。
6月8日(水)からは、KDDIオペラスペシャル『Metメトロポリタン・オペラ』公演が始まります。当初は震災の影響も懸念されましたが、メトロポリタン・オペラを率いるゲルブ総裁が、日本の復興のために音楽で癒すと発表し、総勢400人での来日が実現します。
また、「テレビ東京オンデマンド」のタイトルのもと、GyaO!で配信しているドラマ『鈴木先生』の動画配信が好調です。1~3話の無料配信は、3週間で30万視聴。有料配信は「GyaO!ストア」国内ドラマウィークリーランキングで、1位(5月16日~22日)を獲得しました。
<その他>
Q.節電対策について
A.(島田昌幸社長)
我々は、すでに5月16日からクールビズをさせていただいています。夏期休暇の取り方や、就業時間の工夫など、いろいろなことを組み合わせ、ピーク電力に対するカットを実現しようと検討し、一部、実験をしています。
番組についても、映像に影響しない程度にスタジオの照明を少し落とし、スタジオ内の温度も少し上げます。そのような環境の中で仕事をするので、アナウンサーには、5月30日(月)からノーネクタイで、と指示をしています。クールビズの方が自然だろうということです。
(節電のために)テレビを消すということと、放送を続けるということは別で、こういう不安定な時こそ、私は放送を続けることが大事だと思っています。だから、先んじて節電努力を目一杯しましょうということです。我々は、絶えず電波を流していることが大事ですので、そのためにも他のことで節電努力をしたいと思います。
≪会見者≫
代表取締役社長 島田 昌幸
常務取締役 編成局、コンテンツ契約局、メディア・アーカイブセンター担当 辻 幹男
常務取締役 経営戦略局、広報局、新規事業推進室担当 三宅 誠一
取締役 コンテンツビジネス局、事業局、ビジネス管理部担当 井澤 昌平
上席執行役員 アニメ局長 兼 営業局担当補佐 田村 明彦
編成局長 井上 康
広報局長 狐﨑 浩子
広報局次長兼広報・IR部長 澤田 寛人