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北沢俊美防衛相は11日夜までに陸海空合わせて約8400人に出動を命令していた。だが、翌12日中に一気に10万人規模に膨れ上がる。主導したのは菅首相本人だった。12日早朝、東京電力福島第1原発を視察した菅首相は仙台市の陸自霞目駐屯地で大型輸送ヘリCH47チヌークに乗り込み、宮城県沿岸部を上空から約40分視察した。
「自衛隊を増やしてください」。官邸に戻り、緊急災害対策本部で菅首相は開口一番、「5万人」への増派を要請。夜にはさらに「安心感を与えるため、まとまった数字を国民に言いたい」と北沢防衛相をせかし、相談を受けた折木統幕長が「10万人」をはじき出した。自衛隊史上最大の災害派遣展開はこうして始まったが、不安もあった。統幕幹部は述懐する。「うまく機能するか、走りながらの作戦立案だった」
2011年4月22日