検証・大震災

文字サイズ変更

検証・大震災:自衛隊員10万人、史上最大の作戦(2)米「何でも言ってくれ」 首相「まず日本がやる」(2/5ページ)

   ◆

 太平洋・石巻湾を望む宮城県の航空自衛隊松島基地は捜索・救助の拠点。雪が降る中、救難ヘリUH60など2機が飛び立つ準備を始めていた午後3時54分、津波が襲った。停電を受け、予備電源で防衛省航空幕僚監部と交信しようとしたが途切れた。優先的に着信だけできた杉山政樹司令(52)の携帯電話が唯一の通信手段となり、孤立状態が続いた。夜になり真っ暗な作戦室で杉山司令は「水没して機材が使えないな」と救援に支障が出ることへの懸念を口にした。

空自松島基地を襲った津波で流された支援戦闘機F2=航空自衛隊提供
空自松島基地を襲った津波で流された支援戦闘機F2=航空自衛隊提供

 UH60や滑走路脇に駐機していたF2戦闘機など計8機が数百メートル流され、庁舎などに突っ込んだ。曲芸飛行で知られる「ブルーインパルス」用のT4練習機が使う格納庫のシャッターも壊れた。基地全域が水没し、航空機は塩水で使用不能になった。航空機の被害総額は28機で最大二千数百億円に上る。津波を想定したヘリの緊急発着訓練も実施していたが、その余裕はなかった。杉山司令は「最初は隊員の生命を守るぐらいしかできなかった」と唇をかんだ。

2011年4月22日

検証・大震災 アーカイブ一覧

PR情報

スポンサーサイト検索

 

おすすめ情報