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【世界の街から】

北京 高速鉄道 トウ氏何思う

2011年7月13日

 正直言って驚いた。

 北京−上海間の千三百キロを最短五時間弱で結ぶ中国の高速鉄道に乗った。最高時速三百キロ。車内は清潔で乗り心地も日本の新幹線と大差なく、時間も正確だった。

 汚くて遅れてばかりだったかつての中国鉄道とは隔世の感がある。国内総生産(GDP)で日本を抜いた中国が、鉄道でも追いつき追い越そうとしていることを肌で感じた。

 似ているのは乗り心地だけではない。独特の流線形で白地に青ラインの車体の色、座席や車両間の空間、トイレのデザインも新幹線そっくり。なのに特許申請に乗り出した。この車両は最新型の第三代。日本やドイツの技術を導入した第一代、その技術を生かし研究開発した第二代とは異なり、完全な独自開発だというのだ。

 明らかに違うのは、グリーン車に相当する一等車の上にさらに豪華なビジネス席があること。グリーン車がガラガラな日本と違って、富裕層が増えている中国では需要があるに違いない。

 一九七八年、来日して新幹線に乗った当時の最高指導者、トウ小平氏が「速い。われわれに走れと促しているようだ」と言った。これを機に日本の資金や技術を導入、改革開放へとかじを切り、今の発展へつながった。

 もしトウ氏がこの鉄道に乗ったら何と言っただろうか。(渡部圭)

(注)トウは、登におおざと

 

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