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研究費の不適切な会計経理に関する調査報告及び教員の懲戒処分について

平成23年7月4日

国立大学法人名古屋大学

本件については、既に平成22年7月9日付けで本学において研究費の不適切な会計経理の疑いがあるとして公表し、新聞等で報道された事案ですが、その調査が終了し関係教員の処分を行いましたのでご報告いたします。

1. 概要

本学の研究費の執行において、支払に必要となる書類を取引業者に作成してもらい、大学から支払われた代金を当該業者に「預け金」として管理させて、後日、研究に必要な別の物品や消耗品等の購入に充てるなど不適切な会計経理を行っていた理学研究科教授(60代・男性)に対し、平成23年7月4日付けで懲戒処分として6月間出勤停止とした。なお、預け金の総額は、約5,450万円であり、私的流用は、行われていなかった。

2. 経緯

平成22年3月に、本学教授の研究室に高額な顕微鏡が納入されており、不適切な会計経理の疑いがあるとの匿名の通報が入り、監査室長が当該教授から事情を聴取したところ、「業者に預け金があり、その預け金で顕微鏡などを購入した。私的流用はしていない。今は預け金はしてない。」旨の説明があった。また、当該業者に事情を聴取したところ、「当該教授の依頼により預け金として管理していたが、顕微鏡の納品後は残金はない。」旨の説明があったため、研究費の不適切な会計経理が判明した。

3. 本学の対応

事案の判明後、外部委員2名(公認会計士、弁護士)を含む会計処理調査委員会(委員長:佐分晴夫理事・副総長)を設置し、詳細調査を行い、平成23年1月26日に調査結果を総長に報告した。この調査結果を受け、当該業者に対し、平成23年2月8日付けで6月間の取引停止措置を講じた。
不適切に会計経理された預け金の総額は、平成15・16年度に文部科学省から交付を受けた科学研究費補助金から代金として支払われた10,334,949円と、平成14年度以前の44,167,034円の計54,501,983円であった。なお、平成14年度以前に関しては、本学における書類の保存年限を超えているため、財源の特定は不可能であったが、業者の提出書類や聞き取り調査等により不正の事実と金額が確認できたものについては、財源等不明とし、不正の事実ありとして認定した。
不適切に会計経理された科学研究費補助金は、資金の交付元である文部科学省の指示に基づき、既に返還済みである。なお、当該教員に対する本学への返還請求手続きも行っており、一部の研究費については既に返還済みである。

本学では、研究費等の不正使用防止対策として、発注者以外の者による検収を行うための「検収センター」を平成19年10月に設置したところであり、設置以降このような事案は生じていない。また、教職員に対する研究費の不正使用防止に係る意識の向上を図るための施策として、平成20年4月からWebを活用したe-ラーニング研修を開始し、平成20年10月には研究費執行ハンドブック等の配付を行うなど、啓発活動の推進を積極的に行っているところである。
本事案の判明後は、経理手続きに関する質疑応答集のメール配信、研究費等の不正使用防止に係るモニタリングの実施、e-ラーニング研修の対象を原則全ての教職員に拡大、同研修の受講を公的研究費等の申請の要件化、研究費等の不正使用防止啓発ポスターの掲示等の取組みを行っているところである。さらに、発注・納品検収体制の見直し、内部監査体制の充実、研究費使用に関する意識の向上などを継続的に図り、全学を挙げて再発防止に向けた取組を行うこととしている。

今回、本学の研究費の執行において、不適切な会計経理が判明したことは社会的信用を損なうもので、極めて遺憾であり、深くお詫び申し上げるとともに、本学として重く真摯に受けとめております。今後このような事態が起らないよう、全学をあげて服務規律の徹底と再発防止に取り組み、本学の信頼回復に努める所存であります。


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