【カイロ和田浩明】ノルウェーで22日起きた連続テロで、欧米メディアが当初、イスラム過激派の犯行を疑う報道を繰り広げたことに対してイスラム圏で反発が出ている。欧州では過去にイスラム過激派が関与した大規模テロがあり、今回も過激派ウェブサイトに「犯行声明」が一時、掲示された。だが、逮捕された容疑者はノルウェー人の男で、反イスラム的な考えを持っている可能性も浮上した。
ノルウェーはアフガニスタンに派兵しており、国際テロ組織アルカイダなどが批判してきた。英BBCや米ニューヨーク・タイムズ(電子版)などの主要メディアは、連続テロの発生から数時間の間は「イスラム過激派犯行説」をほのめかす報道ぶりだった。
実際、イスラム過激派のサイトには「今回の攻撃はアフガン駐留が理由だ」などとする犯行声明の体裁を取った文書が一時、掲示された。サイトにはテロを称賛する多数の書き込みも行われた。
しかし、逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)は反イスラム的な傾向のあるキリスト教原理主義者とされる。簡易ブログ「ツイッター」では容疑者逮捕後、「西側の報道はイスラム非難に偏向している」といったイスラム圏からの書き込みが目立った。
エジプトのイスラム過激派専門家、ムニール・アディーブ氏は「今回の事件報道は西側諸国にイスラム教徒に対する誤った理解があることを示した」と述べた。
毎日新聞 2011年7月23日 20時11分