「大相撲名古屋場13日目」(22日、愛知県体育館)
大関とりの関脇琴奨菊が平幕隠岐の海の小手投げに屈し、3敗目を喫した。目安となる直近3場所33勝をクリアするには残り2日間を連勝するしかない上、初日の豊ノ島と合わせて平幕に2敗目と印象も悪く、昇進へがけっぷちに立たされた。優勝争いは全勝の大関日馬富士が大関把瑠都を切り返しで下した。14日目で1敗の横綱白鵬を破れば、09年夏以来、2度目の優勝が決まる。
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昇進ムードが吹き飛んだ。小手投げで裏返しにされた琴奨菊は土俵上で顔をゆがめた。通路奥の中継モニターで、取組を食い入るように見つめた。「力は出し切ったんで。まあ、しょうがないですよね…」。支度部屋では穏やかな口調で、こみ上げる悔しさを胸にしまい込んだ。
負けてはいけない相手だった。12日目までに小結以上の役力士との取組を終えた。横綱にも勝ち、機運が高まっていた矢先だった。三保ケ関審判副部長(元大関増位山)は「平幕だもんね。初日も平幕だった。いろんな意見が出ると思う」と、2回目の取りこぼしを重く見た。
一方、故郷の福岡県柳川市はお祭り騒ぎだ。地元後援会が昇進を決定づける12勝目の瞬間を応援するパブリックビューイングを準備中。昇進が決まれば市庁舎に「祝 大関昇進」の横断幕が掲げられる。琴奨菊は「(緊張が)ないと言ったらうそになる」。正念場で周囲の期待が重圧となってのし掛かっている。
千秋楽には両親が応援に駆けつける予定だ。12勝目が千秋楽までお預けになったことをプラスに考えるしかない。「もったいない」と嘆いていた琴奨菊も「まあ、大丈夫でしょう」と笑顔になった。連勝で目の前の暗雲を振り払う。
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