なでしこに七変化指令「外出時は変装を」…ＩＮＡＣ

早くも変装！？　練習後、眼鏡をかけて車に乗り込む川澄

　沢に、海堀に“ヤマトナデシコ七変化”指令が出された。女子Ｗ杯ＭＶＰのＭＦ沢穂希（３２）やＧＫ海堀あゆみ（２４）ら、なでしこジャパンの７人が所属するＩＮＡＣが２２日、選手が外出する際には帽子や眼鏡などで変装するよう指導した。ＦＷ丸山桂里奈（２８）＝千葉＝のストーカー被害や、沢が２１日に受けた恐怖体験を受けてのもの。この日、練習場では１９人の警察官と１２人の警備スタッフが選手をガードするなど、ものものしい雰囲気の中で練習を行った。

　異例ともいえる通達だった。この日朝のミーティングで星川敬監督（３５）らクラブ幹部は選手たちに「外出する際は変装をしなさい。帽子をかぶって眼鏡をつければバレないだろう」という「七変化」指令だ。

　ビジュアル系で人気のＦＷ丸山が不審者に自宅近くまで追いかけられるストーカー被害に遭ったばかりだが、ＩＮＡＣでも似た事件が２１日に起きていた。標的はＭＶＰ＆得点王の沢だ。神戸市内でタクシーに乗り込んだ際、年配の女性が追いかけてきたという。ワイドショーの攻勢に遭い「芸能人ってこういう感じかな。正直怖かった」と顔を引きつらせたばかり。

警官と関係者にぴったりと守られながらサポーターにサインする大野

　選手たちは神戸市内に住んでいるが、ルームシェアや一人暮らしが多い。チーム関係者は、「何かあってからでは遅い。会社と話し合いをしている状態」と説明していた。七変化指令はその第１弾で「特に海堀はツンツンヘアがトレードマークだから帽子をかぶるだけで全然違う」（関係者）と効果に期待を寄せている。

　２１日の練習には４００人のファンが集結したが、この日、兵庫・篠山市の練習場には２００人が集まった。兵庫県警篠山署からパトカーや白バイも出動し警備に当たるなどものものしい雰囲気に包まれた。選手たちがちびっ子の要求に応じ、サインをする一方で、２０歳代男性が警察の規制線を飛び越えて選手に色紙を差し出すシーンもあり、急騰したなでしこ人気は収まる気配はない。

　セットプレーやミニゲームの練習を終えるとすぐに、ＭＦ川澄奈穂美主将（２５）と沢は、テレビ番組出演のため私服姿で東京に移動。早速、川澄は眼鏡姿に白ブラウスと膝上のキュロットで、沢もボーイッシュなシャツとパンツにシックなトートバッグを抱えて迎えの車に乗り込んだ。

　沢は、契約する「アディダス」の社内殿堂に加わることが決まるなど、Ｗ杯の優勝でなでしこ戦士は人気も知名度も急上昇した。ジャージー姿がトレードマークのトップアスリートが華麗に変身し、身の安全を守る。

　◆ＩＮＡＣ（アイナック）神戸レオネッサ　飲食、スポーツ事業などを手がける「アスコホールディングス」が０１年に設立。０５年にＬリーグ（現プレナスなでしこリーグ）２部に参入して即優勝し、翌年に１部昇格した。昨年度、全日本選手権で初優勝。日本代表の沢、大野らを獲得した今季は、リーグ戦５戦すべてで完封勝ちを収めている。現在所属する選手数は２２人。