弘前市立病院で研修医として勤務していた中国人男性の呂永富さん(当時28歳)が急性循環不全で昨年11月下旬に死亡したことを受け、母親(62)と姉(33)が22日、弘前労働基準監督署に遺族補償年金と葬祭費用の支給を求めて労災申請を行った。
この日会見した母親らによると、呂さんは02年2月に中国遼寧省から来日。前橋市の日本語学校に通った後、04年4月に弘前大医学部に入学した。10年3月に卒業、翌4月から弘前市立病院で研修医として勤務していた。
代理人によると、呂さんは毎日午前8時過ぎに仕事を始め、帰宅時間は早くても午後8時半以降で、手術が長引けば深夜0時を過ぎることもあった。土日出勤も多く、17日間連続で勤務したり、休みが月に1日だけの時もあったという。毎月の時間外労働時間は約99~約177時間。宿直勤務は月2~4回していた。10年4月の健康診断では、問題はなかったという。
労基署に提出した代理人意見書では「非常に不規則な勤務を繰り返し、業務による肉体的負担が大きかった」としている。
母親は「元気で活発だった息子が急に死んだことはとても悲しい。生きていく力がわかない」と述べた。
市立病院は「研修中は指導医の指示の下で業務を行っており、過重な負担はなかったものと考えております」とのコメントを出した。【吉田勝】
毎日新聞 2011年7月23日 地方版