福島県相馬地方の伝統行事で国指定重要無形民俗文化財の「相馬野馬追」が23日始まった。今年は福島第1原発事故の影響で規模を大幅に縮小し、メーン行事の「甲冑(かっちゅう)競馬」などが中止になったが、震災犠牲者への鎮魂の思いを込め、約80人の騎馬武者が市街地を練り歩いた。
10世紀に関東で反乱を起こした平将門の軍事演習が由来とされ、1000年以上の歴史を持つ。将門の子孫と称する相馬氏が鎌倉時代にこの地の領主となり、続けられてきた。
初日のこの日は、相馬市にある相馬中村神社で総大将出陣が行われ、相馬、南相馬両市から集まった騎馬武者が出陣。昨年までのメーン会場(南相馬市原町区)が緊急時避難準備区域になったためコースを短縮し、騎馬武者の数も500人から大幅に減らした。例年2日目に行われる甲冑競馬や神旗争奪戦も、このメーン会場の関係で中止になった。最終3日目の「野馬懸」は、会場の相馬小高神社(同市小高区)が立ち入り禁止の警戒区域にあるため、区域外で神事のみ行う。【神保圭作】
毎日新聞 2011年7月23日 11時07分(最終更新 7月23日 12時24分)